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コロナでフランスは三度目のロックダウン。いつまで続くSF的な暗澹たる世界

未成年同士の殺し合いや有名人のレイプ、小児性愛や近親相姦などの事件が連日のように

山口 昌子 在仏ジャーナリスト

人影が消えたエッフェル塔やルーヴル美術館

 二度のロックダウンで実施された、外出時に目的などを明記して持参する「許可証」は最終的に見送られ、春の第1次ロックダウンの際の「自宅から1キロ、1時間以内」も緩和されて、「自宅から10㌔、時間の制限なし」になった。

 第1次のロックダウンでは、「死活問題」に直結する食料品店と薬局をのぞく全店が閉鎖されたが、第2次ではテレワークの増加を受けて「IT関係店」の開店が許可された。今回は書店・レコード店、花屋、美容院の開店も許可、「文化大国フランス?」の面目躍如だ。

 フランスでは1月中旬から、全国的に午後6時から午前6時までの夜間外出禁止を実施しているが、午後7時からに変更された。日没時間が遅くなったことに加え、3月末からは1時間繰り上がる「夏時間」になるため、午後6時では日がまだ高いから。

 しかし、「パリ名物」の路上に張り出したカフェ、レストラン、映画館は閉鎖が半年以上も続き、サッカーの試合は実施はされているが無観客。人口(約6600万)をはるかに超える年間約9000万の観光客の姿も消え、エッフェル塔やルーヴル美術館の付近は閑散とし、まるでSF映画を見ているような不思議な光景が広がる。

拡大パリ名物の歩道に設置のテラスカフェも閉鎖中で屋根だけが面残している=2021年3月19日,シャンゼリゼ大通り

SF映画「パーフェクト・センス」を見て不安に

 仏独共同経営のテレビ局「ARTE」はドキュメンタリーやトークが主要番組だが、古今東西の名画や、北欧を含めた欧州の優れたスリラーものなども放映するので、蟄居状態の映画ファンを大いに慰めてくれる。

 最近、放映されたSFスリラー映画「パーフェクト・センス」(デビッド・マッケンジー監督、英BBC、2011年制作)は2012年のサンダンス映画祭(米ユタ州)に出品され、斬新な内容で注目されたが、「ジェラシックパーク」や「ゴジラ」のようなSF特有の大がかりなスベクタル・シーンはないので、残念ながら世界的ヒットにはならなかった。だが、今なら「SF映画なのに、現実社会を忠実に描いた傑作」として評価されそうだ。

 その内容は――。ある日、突然、全世界が原因不明の感染症に襲われる。感染すると、まず嗅覚を失うという新型コロナもどきの症状が発症する。次第に味覚、聴覚、視覚など五感全体を失う。評判の良い若手シェフ(ユアン・マクレガー)と感染症の研究所に勤務する女性化学者(エヴァ・グリーン)は恋に落ちるが、やがて2人も感染する。

 五感を失った感染者は喜怒哀楽が激しくなる。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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