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総務省・身内による身内への調査と処分

[231]武田良太総務大臣・記者会見、福島第一原発構内、唐十郎・状況劇場……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

2月24日(水) 朝、プールへ行き少しだけ泳ぐ。きのうちょっと泳ぎすぎたのでセーブする。心身のストレスが限界に達しているのかなあ。

 毎日新聞のコラム原稿の締め切り日だが、総務省幹部らの接待問題について書きたいので、締め切りを夜まで延長してもらう。夕方に武田良太総務大臣の記者会見があるからだ。そこに出かけていくことになっていた。「文春砲」の威力の後追い続きの状況を、僕らマスメディアの仲間たちはどう考えているのか。人数もお金も週刊文春編集部に比べれば潤沢なはずの大新聞、大テレビ局は何をやっているのか、と市民からは見られているだろう。そして、その見方は極まっとうなものだ。

 法務大臣の記者会見場は、30分前には既にいっぱいになっていた。何とか空きを探して、僕とIディレクターは最後列の席に陣取って記者会見場で大臣の到着を待った。

 配布された報道用資料には「国家公務員倫理規程違反に関する関係者の処分等について」とあり、谷脇康彦総務審議官や吉田眞人同審議官らに「減給3月10分の2」などの処分内容が記されていた。ずいぶん軽い懲戒処分だな、というのが率直な印象。資料の中で目を引いたのは次の記述だ。「多くの議論があった菅氏(注:首相の長男の正剛氏)の存在が会食に影響を及ぼしたのではないかということについては、そのような事実は確認できなかった」。身内による身内に対する調査で「確認できなかった」などと書くことの恥ずかしさ。

幹部の処分について記者会見する武田良太総務相(右)=2021年2月24日午後5時43分、東京都千代田区、20210224拡大幹部の処分について記者会見する武田良太総務相(右)=2021年2月24日

 幹事社、常駐記者らからの質問が続く。辛抱強く手を上げ続ける。TBSの後輩記者のG君があたって質問した。あらら、これはダメかな、と思いながら手を上げ続けたら、G君の次に当てられた。「ずいぶん軽すぎませんか?」と単刀直入に武田大臣に聞いた。武田大臣曰く、国家公務員倫理審査会との協議のうえでの処分だと。「行政をゆがめたという事実はないと、どうして断言できるのか?」「山田(真貴子)内閣広報官についてはなぜ処分が及ばないのか」「在職中のことですよ」と何度も食い下がったが、納得のいく答は得られなかった。

 他社の記者からは「東北新社だけから接待を受けていたという見方か?」と問われていたが、倫理規程違反の観点からはそうだ、と答えていた。驚いたのは、某新聞社の記者が「減給10分の2というのは、もともとの給与の10分の2にするということですか」等と耳を疑うような質問をしていたことだ。トホホだな。

 その後の取材で、山田広報官への調査は電話とメールだけで済まされたことを知った。山田氏への高額接待。牛肉ステーキと海鮮料理で一回ひとり7万4000円余也。総務省の配布資料の接待一覧表に目を通していて気づくことがいくつもあった。谷脇審議官への去年10月7日夜の接待はとりわけ破格。菅正剛氏は39回の接待のうち21回同席していた(山田広報官への接待を含む)。

 情報流通行政局官房審議官の湯本博信氏の場合、去年の12月14日の夜18時30分~20時40分頃に、南麻布で接待を受けていた。相手は東北新社の木田由紀夫執行役員と菅正剛氏だったが、ちょうどこの時刻、菅首相がGo To トラベルの全国一斉停止の記者会見を行っていた時刻だ。感染の再拡大を食い止める方策として、政府や都が宴会・外出の自粛を呼び掛け、鳴り物入りだったGo To停止を全国民に告知していた最中に、カットケーキのお土産付き宴会が催されていた。官僚たちのモラルハザードも来るところまで来たという感じだが、これもみんなどこかで気づいていたことではなかったか。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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