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日本のジャーナリズムにモノ申す――元外交官からの7つの提言

プロフェッショナルによる本来の姿を取り戻すために

田中均 (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

「記者クラブ」の弊害。情報操作に陥るおそれ

 何時まで経っても変わらない日本の特色の一つは「記者クラブ制」だ。

 確かに各省庁や県庁、日銀、或いは企業から情報提供を受ける場としての記者クラブは有用なのだろう。しかし、政府の中にいて常日頃感じていたのは、政府からの一方的な情報に頼りすぎると政府側から見た情報操作が比較的容易になってしまうことだ。

 記者に対してブリーフィングを長年行ってきた経験から言うと、官僚が真実を捻じ曲げて伝えることはもちろん論外だが、批判的に書かれないようにメリハリをつけてブリーフィングする傾向は強い。

 外交報道は外務省の記者クラブ(霞クラブ)記者が書くといった縦割り意識が強いからか、外国を含め多面的な情報源から真実を探る調査報道とはなりにくい。

専門記者が育たず追及がお粗末に

 「公正な報道」を行うためには記者もプロフェッショナルでなければならない。しかし「記者クラブ制」のもと、1-2年ごとに替わっていく記者も多く、記者が専門性を身に着ける訓練がされているのか疑問に思う場合も多い。

 日本とは異なり、欧米の記者の場合、長年の経験を有したエキスパートであるがゆえに自分たちの価値判断の基準を明確にもち、常に「批判的目線」を持っている。そのため彼らに政府が思った通りの記事を書かせるのは、難しい。

 ホワイトハウスなどの記者会見を見慣れていると、日本の官邸での記者会見はあまりに形式的で、記者の追及も不十分なことに強い違和感を持つのは私だけではないだろう。

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筆者

田中均

田中均(たなか・ひとし) (株)日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長/元外務審議官

1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。2006年4月より2018年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月10日刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、2009年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年)など。2021年3月よりTwitter開始、毎日リアルタイムで発信中。(@TanakaDiplomat)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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