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安倍政権のうさんくささに縛られ続ける東京五輪

「不完全な五輪」に成り下がり、開催国なのに過半数が反対――根底に政治不信も

市川速水 朝日新聞編集委員

海外客見送り決定。山積する課題

 2021年夏の東京オリンピック・パラリンピックで、海外からの観戦・観光客の受け入れを断念する方針が正式に決まった。新型コロナウイルス感染の再拡大や、水際での検査態勢強化、一時的な人口増による集団感染の恐れなどを考慮したもので、日本政府や国際オリンピック委員会(IOC)などの立場からはやむを得ない選択だろう。

拡大東京五輪・パラリンピックで海外客受け入れを断念することを決めた関係団体「5者協議」を終え、取材に応じる丸川珠代五輪相=2021年3月20日、東京都中央区
拡大東京五輪・パラリンピックに向けた「5者協議」の後、取材に応じる組織委員会の橋本聖子会長=2021年3月20日、東京都中央区

 NHKは翌日の夜に「生討論!」というスペシャル番組を組み、東京五輪はどうあるべきか、アスリート出身者や主催側幹部、識者らが真剣な議論を繰り広げた。

 五輪を開催する、しないの判断基準や線引きが明確でない。大会組織委員会の理念が見えない、大半は大会が開かれることを願うが、各方面でそのための努力が足りないのではないか……。本音に近いと思われる厳しい意見、組織内部の悩みも明かされた。

政治との奇妙な関係。誘致段階から続く「自縄自縛」

 しかし、何かどうも消化不良の感じが残った。スポーツの祭典、平和を望む祭典を可能なら開いた方が良いのは当然だ。アスリートの晴れ姿も見たい。一方で、まだ語り尽くされていない、タブーのようなよどんだ空気感のある問題が背後にあったからだ。

 それは、「日本の政治と五輪」の奇妙な関係。政治が五輪に与えた「足かせ」とも言える。

 「癒着している」とか「政権による五輪利用」とまでは断言しにくい。

 突き詰めれば、東京に五輪を誘致する時からの安倍晋三首相(当時)の言動と、そのうさんくささを引きずっているから。誘致当時の官房長官として安倍氏を支え、政権を引き継いだ菅義偉・現首相が、安倍政権時代を否定できず、今に至るまで自縄自縛に陥っているということだ。

拡大IOC総会で2020年の五輪開催都市が東京に決まり、喜ぶ安倍晋三首相(当時)ら招致関係者=2013年9月7日、ブエノスアイレス

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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