花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授
在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
長期政権の劣化を露呈、与党はずしの連立構想が浮上
3月21日の千葉県知事選挙は、102万票の大差で自民党推薦候補が敗れ去った。4月25日の衆参3補選、再選挙を前に、自民党関係者は先行きに不安を感じざるを得ない。丁度それと踵を接するかのように、海の向こうでも同じことが起きた。
3月14日に行われたドイツ西部二州における州議会選挙は、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)にとり衝撃的な結果となった。
元々、両州とも対立政党が政権を握る。従って、負けてもともとであり、大敗さえしなければいいというものだった。しかし現実には、まさにその大敗を喫した。
CDUのバーデン・ビュルテンベルク州での得票率は24%で、前回2016年より約3ポイント少なく、第一党となった緑の党の32%に大きく水をあけられた。もう一つ、ラインラント・プファルツ州では28%だったが、これも前回より約4ポイント減らし、第一党の社会民主党(SPD)の36%とは8ポイントもの開きがある。CDUの得票率は、ともに過去最低だ。
CDUの新党首アルミン・ラシェット氏にとり、今回は初陣だった。選挙は、この新党首の下でCDUがどれだけ戦えるかを占うものだったが、有権者のラシェット氏に対する評価は厳しかった。
ラシェット氏では、CDUがこれからどうなっていくのか、明確なイメージを描けず不安だとの有権者の声を前に、CDU内では、これで9月の連邦議会選挙が戦えるのかと危惧する声が出始めた。
各党はこれから首相候補を絞り込んでいく。CDUが、ラシェット氏では勝てそうもないとすれば別の候補を立てていくしかない。
有力なのが姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)の党首、マルクス・ゼーダー氏で、同氏の国民の人気は高く、有力候補であることは疑いようもないが一抹の不安がないでもない。これまでCSUの候補で戦って一度も勝利したことがない。今回、同じ轍を踏むわけにはいかない。
しかしここにきて、今回の選挙の意味するところは、首相候補の調整問題だけに止まらないのではないか、との見方がでてきた。