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正念場のワクチンパスポートと「ワクチン外交」

差別への対応も急務

塩原俊彦 高知大学准教授

旅行をめぐるワクチンパスポートの群雄割拠

 実は、海外旅行をめぐっては、さまざまなワクチンパスポートの発案がなされている(下表を参照)。日本でも、ANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)は3月29日、渡航者の新型コロナウイルス検査の結果やワクチン接種の履歴を示す世界共通のデジタル証明書「コモンパス」(CommonPass)の実証実験を行った。日本航空も4月2日に実験する計画だ。このコモンパスは、拙稿「「電子予防接種証明書」がもたらす新たな「差別」」のなかで紹介したように、ロックフェラー財団支援のNPO団体であるThe Common Projectおよび世界経済フォーラム(WEF)が共同で推進する「コモンパス・イニシアチブ」に基づいて開発・導入が進められているものである。

 日本のマスメディアでは、世界のさまざまな動きを紹介しないまま、この実験だけを報じている。そこで、このワクチンパスポートの乱立ぶりについてもう少し説明してみよう。

 表の最上部にあるように、世界保健機関(WHO)は「Smart Vaccination Certificate」という「デジタル予防接種証明書」作成に取り組んでいる。米国疾病予防管理センター(CDC)も、この動きを支援している。他方で、国際航空運送協会(IATA)は運用準備中の「IATAトラベルパス」を推進しようとしている。

 海外旅行客の多い米国の場合、CDCが

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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