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日米ロで広がる陰謀論の裏側/上

トランプにさきがけて為政者自ら陰謀論を政治利用したプーチン

塩原俊彦 高知大学准教授

エスタブリッシュメント側が使いたがる陰謀論

 いわば、主流派を構成するエスタブリッシュメントが守ってきた制度がいま崩壊しつつあり、彼らに対するその信頼も失われようとしている。「真実の体制」そのものが揺らぎ、崩れつつあるいまだからこそ、真実を騙る勢力が相対的により強力になりつつあると言えるだろう。とくに科学への信頼が揺らぐことで、「真実の体制」を支えてきた根幹が大きく毀損してしまうのである。

 ゆえに、エスタブリッシュメント側は、こうした動きを陰謀論と呼び、レッテル貼りと情報操作でそうした連中に打撃を与えて、何とかこれまでの既存の秩序を維持しようとしているようにみえる。だからといって、エスタブリッシュメント側が「正しい」わけではない。ただ、これまでの「真実の体制」を守ることで既得権益の堅持につなげたいだけ

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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