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コロナに立ちすくみ米中対立の渦に巻き込まれる菅政権の今ここにある危機

後手に回るコロナ対策。支持率低迷にざわつく自民党。初の日米首脳会談でも難題が……

星浩 政治ジャーナリスト

後手に回るコロナ対応、世論も「評価せず」

 しかし、コロナ危機は収まらないどころか、再拡大が続いている。年末から年始にかけて「第2波」が猛威を振るい、「第3波」で感染者はさらに増加。大阪府や兵庫県は3月1日に緊急事態宣言が解除されたが、再び感染が拡大して4月5日から大阪市、神戸市などでまん延防止等重点措置が取られた。宮城県仙台市も同措置に加えられた。

 東京都も3月22日に緊急事態宣言が解除されたものの、感染再拡大を受けて4月12日からまん延防止措置の対象(23区と多摩地区の一部)とすることになった。京都府(京都市)、沖縄県(那覇市など)も、まん延防止措置に加えられた。

 感染の収束を受けて緊急事態宣言を解除するが、その後に「Go To キャンペーン」などで人出が急増し、感染が拡大する。再び、緊急事態宣言やまん延防止措置を取る。その繰り返しだ。

 第2波、第3波と感染者は増え続け、医療体制が逼迫(ひっぱく)する。飲食店などは営業時間短縮の要請に振り回され、観光業界などの不振は先が見えない。感染対策や生活支援策などで菅政権の対応は後手に回り、各種世論調査でも「コロナ対策を評価しない」が多数を占めている。

日本の「時代遅れ」が露呈、東京五輪という難問も

 菅首相にしてみれば、感染拡大に伴う病床逼迫の問題などは、長く続いた自民党政権下で改革が進まなかった医療体制の不備が表面化したもので、菅政権だけに責任があるわけではないという思いも強いという。ただ、菅氏は7年8カ月続いた安倍晋三政権でずっと官房長官を務めており、医療を含む行政全体の不備には重い責任があるはずだ。

 給付金を配る際には、住民基本台帳やマイナンバーと国民の銀行口座が紐付いておらず、手間と時間がかかった。安倍政権下でデジタル化を推進していたはずだったが、世界基準で見れば大きく遅れていた。コロナウイルスに対するワクチンの開発も、米国や英国だけでなく、ロシアや中国にも遅れをとっている。アベノミクスによる景気拡大や成長戦略路線の影で、日本の「時代遅れ」ぶりが露呈してしまった。

 菅政権はデジタル庁を新設するなど、遅れの挽回を目指すが、時間がかかりそうだ。医療制度の抜本改革に至っては、国と自治体、さらには医師会などとの調整もあり、抜本改革のメドは立っていない。

 コロナ対策で立ちすくむ菅首相だが、目の前には東京五輪・パラリンピックを予定通り開催するのかどうかという難問も立ちふさがる。海外からの観光客は受け入れないことになったが、国内の感染拡大がやまないようなら、各国から参加見合わせの意見が出てくるのは必至だ。

拡大東京五輪・パラリンピックに向けた5者協議をする大会組織委員会の橋本聖子会長(中央)。右は丸川珠代五輪相。オンラインで参加する(左から)東京都の小池百合子知事、IOCのバッハ会長=2021年3月20日、東京都中央区

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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