星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト
1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
後手に回るコロナ対策。支持率低迷にざわつく自民党。初の日米首脳会談でも難題が……
くわえて、今年は9月に自民党総裁選があり、衆院議員の任期満了の10月までには必ず解散・総選挙も行われる。
菅首相は、解散について問われると、「コロナ対策が最優先」と答えてきた。5月上旬までは、大阪に続いて東京にもまん延防止措置が取られることになり、春の解散・総選挙は事実上、見送られた。
夏以降の解散について、菅首相は「総裁選の前に解散となる可能性はある」(4月6日のBS番組)と述べている。9月までに衆院の解散・総選挙に踏み切り、勝利すれば、総裁選は事実上の無投票となって再選。さらに3年間の総裁任期を手にすることができる。それが菅首相にとっての「ベストシナリオ」だろう。
だが、自民党内には支持率が低迷する菅首相に代わって新たな総裁・首相を選び、そのもとで解散・総選挙を迎えたいという議員も少なくない。また、安倍前首相の出身派閥である細田派(清和会)や麻生太郎副総理・財務相の率いる麻生派などは、菅首相と二階俊博幹事長が主導する政権運営に不満がくすぶる。細田派幹部の下村博文政調会長が昨年秋以来、早期の解散を唱えてきたのは、早めに総選挙を済ませ、秋の総裁選でポスト菅の候補を担ぐ狙いがあったからだろう。
アンチ菅陣営では、今春の解散の可能性が小さくなるにつれて、総裁選を前倒しして、新総裁を選び、秋に解散・総選挙を求める動きがジワジワと広がってきた。そこを見透かして、菅首相が放ったのが