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コロナに立ちすくみ米中対立の渦に巻き込まれる菅政権の今ここにある危機

後手に回るコロナ対策。支持率低迷にざわつく自民党。初の日米首脳会談でも難題が……

星浩 政治ジャーナリスト

総裁選と総選挙をめぐり緊張する党内政局

 くわえて、今年は9月に自民党総裁選があり、衆院議員の任期満了の10月までには必ず解散・総選挙も行われる。

 菅首相は、解散について問われると、「コロナ対策が最優先」と答えてきた。5月上旬までは、大阪に続いて東京にもまん延防止措置が取られることになり、春の解散・総選挙は事実上、見送られた。

 夏以降の解散について、菅首相は「総裁選の前に解散となる可能性はある」(4月6日のBS番組)と述べている。9月までに衆院の解散・総選挙に踏み切り、勝利すれば、総裁選は事実上の無投票となって再選。さらに3年間の総裁任期を手にすることができる。それが菅首相にとっての「ベストシナリオ」だろう。

 だが、自民党内には支持率が低迷する菅首相に代わって新たな総裁・首相を選び、そのもとで解散・総選挙を迎えたいという議員も少なくない。また、安倍前首相の出身派閥である細田派(清和会)や麻生太郎副総理・財務相の率いる麻生派などは、菅首相と二階俊博幹事長が主導する政権運営に不満がくすぶる。細田派幹部の下村博文政調会長が昨年秋以来、早期の解散を唱えてきたのは、早めに総選挙を済ませ、秋の総裁選でポスト菅の候補を担ぐ狙いがあったからだろう。

 アンチ菅陣営では、今春の解散の可能性が小さくなるにつれて、総裁選を前倒しして、新総裁を選び、秋に解散・総選挙を求める動きがジワジワと広がってきた。そこを見透かして、菅首相が放ったのが

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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