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ロシアとウクライナの国境、一触即発の緊張状態

四つの条件がそろえば、プーチンは戦争に突入する?

塩原俊彦 高知大学准教授

袋小路に入ったミンスク合意

 2019年12月9日、パリで、プーチン、ゼレンスキー、エマヌエル・マクロン、メルケルによる首脳会議が行われた。いわゆる「ノルマンディー方式」によるドンバス地域の和平協議の場となった。そこでの「共同合意」には、「ミンスク合意(2014年9月5日のミンスク議定書、2014年9月19日のミンスク覚書、2015年2月12日のミンスク措置パッケージ)は、引き続きノルマンディー方式の基盤となっており、その参加国はその完全な実施を約束している」と書かれている。だが、ゼレンスキーは共同記者会見で、「実行は不可能だ」と語った。

 ミンスク協定遂行措置の合意から数えても、すでに6年以上が経過している。プーチン大統領は2019年4月24日、ドネツクとルガンスクの住民がロシア市民権を取得しやすくする最初の大統領令に署名した。人道的な立場から、彼らのために「簡略化された方法でロシア連邦の市民権を申請する権利を有することを確立する」というのである。

 同年7月17日、プーチンはこの大統領令を改正し、ドネツク州とルガンスク州に住むすべてのウクライナ人が、ウクライナ政府の支配地域に住んでいても、「簡略化された手続き」によってロシア国籍を取得できるようにした。 この二つの動きは国際社会から非難され、欧州連合(EU)はロシアの行動を「ウクライナの主権に対する侵害」であり、ミンスク合意に違反しているとした。同年10月、EUは占領されたドンバスで発行されたロシアのパスポートを認めないと表明する。

 実際にどれくらいの人がロシア国籍を取得したかというと、

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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