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世界の最新ブロックチェーン事情

知らないと損するDeFi、NFT、CBDCという三つの波

塩原俊彦 高知大学准教授

 毎年前期において、「世界経済論」なる授業を大学で行っている。わずか15回の講義で、世界経済を語るのは至難の技だが、近年は世界の最先端テクノロジーを紹介することで、変革期にいる若者を鼓舞するように努めている。

 そこで、今年の授業の最初に教えたいと考えている「世界の最新ブロックチェーン事情」について紹介することにしたい。

浸透するブロックチェーン

拡大Shutterstock.com

 まず、分散型台帳(ブロックチェーン)という言葉になじみのない人は、拙稿「暗号通貨をめぐる翻訳の混乱」「「ブロックチェーン」がもたらすアートの変革」を読んでほしい。

 ブロックチェーンの実践例として有名なのは、「ビットコイン」(Bitcoin)だろう。2008年のことだ(2019年1月になって、日本でもこの問題を扱った上田岳弘著『ニムロッド』が芥川賞をとった)。ブロックチェーン業界の進化の次の段階として、2015年に「スマートコントラクト」という重要な機能が追加されるようになる。ブロックチェーンを利用した分散アプリケーション(De-decentralized applications, D-Apps)によって、「ルールに基づいた自動化システム」という意味をもつ「スマートコントラクト」が「イーサリアム」(Ethereum)というプラットフォーム上で可能になる。そこで利用される暗号通貨は「イーサ」(ETH)と呼ばれている。その後、さまざまな手順(プロトコル)で動作するブロックチェーンが現れるようになる。

 つぎに、拙著『デジタル空間における覇権争奪』に書いたつぎの記述を紹介したい。

 「ここでブロックチェーンといっても、二つの形態があることに留意しなければならない。一つは、パブリック型であり、そのブロックチェー ンへの入退出が自由で、ブロックチェーンの所有者がいない形態である。台帳上のだれもが同じ台帳のコピーへのアクセス権をもち、利用者と同じ数の台帳コピーがあることになる。このパブリック型ブロックチェー ンに近いのはビットコインかもしれない。」

 「もう一つは、プライベート型であり、許可された利用者にだけブロックチェーンへのアクセス権を供与するブロックチェーンの所有者ないし運営者がいる形態だ。許可された利用者だけが台帳コピーをもつことができる。金融機関はこのタイプのブロックチェーンを選好する。」

 ここで言っているのは、要するにブロックチェーンには、いわば「管理者」がいるか、いないかの二つの形態があるということだ。管理者がいなければ、ブロックチェーンのネットワークを構成する「つなぎ目」、「結節点」である「ノード」と呼ばれる参加者になれるかどうかの可否を決める者がいないことなり、だれでも参加可能な設計になる。管理者がいる場合には、管理者がノードの参加の可否を決定する。

 もっとも重要なのは、台帳の書き換えに際して、その取引が二重になっていないかを確認(プルーフ)する作業だ。先の管理者がいない場合、悪意のノードが参加する可能性を考慮して、ブロックチェーン全体を設計しなければならなくなる。管理者がいる場合には、「悪意のあるノード参加者などというのを想定してガチガチなプルーフ作業を必須としなくても良いではないか、という発想がうまれうる」ことになる(増島雅和著「ブロックチェーンの正体」)。

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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