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バイデン米大統領から具体的な支持なし?東京五輪はもはや漂流する難破船

共同声明に「菅首相の努力を支持する」の文言は入ったけれど……

大濱﨑卓真 選挙コンサルタント

国際的にも国内的にも「アゲンスト」

 客観的に見て、国際世論は東京五輪にとって完全にアゲンスト(向かい風)です。ニューヨーク・タイムズ紙は「最悪のタイミング、一大感染イベント」とセンセーショナルな記事を公表したほか、五輪放映権ビジネスの中枢ともいえる米NBCですら「聖火は消されるべきだ」とコメントするなど、非常に厳しい状態です。英医学誌BMJにも同様の主張が掲載されていることからも、国際的な厳しさは強さを増しています。

 さらに国内世論も、必ずしもフォロー(追い風)ではありません。時事通信の世論調査によれば、東京五輪・パラリンピックについてたずねたところ、「中止する」という回答が39.7%で最も多く、「開催する」28.9%、「再延期する」25.7%と続きました。昨年12月の調査では、「2022年以降に延期すべきだ」が29.9%、「中止すべきだ」が21.1%。今年2月の調査でも「22年以降に再延期すべきだ」35.3%、「中止すべきだ」25.8%で、中止すべきとの声が今年春以降急増していることがわかります。

拡大日米首脳会談後の共同会見で発言する菅義偉首相=2021年4月16日、ワシントンのホワイトハウス

東京五輪は操舵手がいない船

 国際世論や国内世論が向かい風なのに、東京五輪が開催に向かおうとするのは何故でしょうか。私は、これはもはや「慣性の法則」レベルの話であり、誰も止める事が出来なくなっている状態だと感じています。

 まず第一に、昨年、東京五輪を延期する決断をしたのは、バッハ会長と安倍晋三首相(当時)でした。カナダが選手団派遣を見送ったことなどから、急転直下でこの二人がテレビ会議を通じて開催が難しいことを確認し、延期を決断しています。この「東京五輪1年延期」の意思決定にはJOCや組織委員会の意思は大きく介在せず、むしろトップ同士で決めた意思決定だったとされています。

 翻って今、菅総理に国際的な指導者らとこうした意思決定をするだけのリーダーシップがあるかどうかは、心許ないところがあります。外交が苦手なことも含めて、強いイニシアチブを持った意思決定が出来ないことが問題でしょう。

 組織委員会もまた、力がありません。森喜朗氏の会長辞任からはじまった組織委員会の人事異動もまた、国際社会に組織委員会のイニシアチブのなさを露呈したに過ぎませんでいた。橋本聖子氏が森氏にかわって新しい会長に就任しましたが、派閥内での会長ポストの禅譲にも見え、新会長の求心力は高まっているように見えません。さらに、女性の地位向上という名目で、女性理事を突然増やすことを迫られるなど、組織ガバナンスに大きな変更のあっただけに、東京五輪開催の可否という組織委員会自体の存在意義が問われるような決定を下すだけのイニシアチブがとれるとは、とても思えません。

 IOC(国際オリンピック委員会)もまた、

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筆者

大濱﨑卓真

大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント

1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。

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