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香港で上映できないかもしれない「香港の記録映画」―日本起点に世界へ

デモ・圧力・コロナ下の制作~自由求め続ける精神を未来につなぐ

市川速水 朝日新聞編集委員

拡大2014年の雨傘運動。民主派学生ら大勢の市民が路上で傘を広げ、香港政府に抗議した=香港・金鐘

1960年代からの闘いの延長線上に

 映画の制作が始まったのは2017年。

 最近の民主化闘争では、2014年、香港のトップ、行政長官選挙をめぐって市民による普通選挙を求める大規模デモ「雨傘運動」が起きた。催涙弾などを避けるカラフルな雨傘が路上に密集する風景は、香港市民の団結を世界に示すことになった。

 2019年には、大陸からの逃亡者を引き渡す「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めて約200万人の市民が街を占拠した。昨年から今年にかけては、国安法施行に伴い、香港独立、反中国政府とみなされる言動への取り締まりが一段と激しくなっている。

 その中で映画がポイントを置くのは、1960年代からの闘いの連続を通した現在とのつながりだ。

 香港では1960年代、中国の毛沢東体制による文化大革命で大陸から逃れた人たちがいた。逆に毛沢東思想に影響を受けた人もいた。イギリスの植民地支配に抗う若者も多かった。1989年の天安門事件後は、抗議と大追悼会が繰り広げられた。

歴史のうねりに身を投じた3人を追う

拡大ドラマパートを演出中の陳梓桓(チャン・ジーウン)監督=映画「BlueIsland 憂鬱之島」のクラウドファンディングのウェブ画面から
 監督のチャン・ジーウンさんは、ネットでこうコメントしている。

 「私は仲間と共に、香港の大きなうねりに身を投じた3名の人物の撮影を始めることにしました。彼らがどのような理想を掲げ、その理想がどのように変わっていったのかを知る必要を強く感じました。撮影を始めて1年半後の2019年、『逃亡犯条例』への抗議を発端とした民主化デモが始まります。若者たちが街に出て、先人たちの意志を継いで声を上げました。街を飛び交う銃弾と燃えさかる炎、催涙弾の白煙と放水車から吹き出す青い水。レンズ越しに記録された過去と現在と未来は、すべて一本の線でつながっています」

拡大香港国家安全維持法の施行に反対する香港のデモ行進で「(中国共産党の)一党独裁を終わらせよ」と書かれたビラを掲げる参加者ら=2020年7月1日
 映画は、今も香港で暮らす3人を中心に展開する。

 1960年代、イギリス支配に反対する「反植民地運動」に加わったのを機に、抵抗者から経済人になり、「チャイナドリーム」を体現して富豪になった人。

 文化大革命から逃れるために恋人と一緒に海を渡って香港にたどりついた人。

 天安門事件に駆けつけ、軍に抵抗する学生らを支援した人。

 それぞれにインタビューを繰り返し、当時の行動を振り返ってもらい、どんな思いだったか、その後、どう思ったか、いまや未来の若者に何を伝えたいかを聞いた。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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