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欠陥だらけの土地規制法案――政府の裁量濫用で市民活動制限の恐れ

政府は今国会で成立目指すが、立法の必要性みあたらず

馬奈木厳太郎 弁護士

2.基地や原発周辺の土地利用規制。懲役や罰金も

 今年3月26日に閣議決定され、国会に提出された法案ですが、正式には、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」と長い名称になっています(法案の全文は、衆議院のホームページで確認することができます)。

拡大土地規制法案を閣議決定した日は2021年度予算成立と重なり、新型コロナウイルス対応や総務省接待問題に注目が集まった。予選成立後に報道陣の質問に答える菅義偉首相=2021年3月26日午後7時55分、首相官邸
 この法案は、内閣総理大臣が、自衛隊や米軍、海上保安庁、原発など「重要施設」の敷地周囲おおむね1km内や国境離島等内にある区域を「注視区域」に指定し、①区域内にある土地及び建物(「土地等」)の利用状況を調査する、②「施設機能」や「離島機能」を阻害する行為の用に供したり、供する明らかなおそれがあると認められるときは、利用中止などの勧告を行ったり、罰則付きの命令(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)を行えるようにする、③「注視区域」のうち「特別注視区域」とされた区域においては、土地等の売買などについて、当事者に事前の届出を罰則付き(6月以下の懲役又は100万円以下の罰金)で義務づけることなどが柱となっています。

拡大四国電力伊方原発。土地規制法案は原発も対象となる=2015年6月、愛媛県伊方町、筆者撮影
 同様の法案は、2013年の第185回国会でも、「国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案」という名称で、議員立法の形で提出されたことがありました。今回は、政府提案(いわゆる閣法)として提出されています。

 政府は、今国会での成立を目指していますが、この法案は、日本国憲法の平和主義との関係や個人情報保護、プライバシー権との関係、所有権保護との関係などで多くの問題点を有しています。

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筆者

馬奈木厳太郎

馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう) 弁護士

1975年生まれ。大学専任講師(憲法学)を経て現職。 福島原発事故の被害救済訴訟に携わるほか、福島県双葉郡広野町の高野病院、岩手県大槌町の旧役場庁舎解体差止訴訟、N国党市議によるスラップ訴訟などの代理人を務める。演劇界や映画界の#Me Tooやパワハラ問題も取り組んでいる。 ドキュメンタリー映画では、『大地を受け継ぐ』(井上淳一監督、2015年)企画、『誰がために憲法はある』(井上淳一監督、2019年)製作、『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』(平良いずみ監督、2020年)製作協力、『わたしは分断を許さない』(堀潤監督、2020年)プロデューサーを務めた。演劇では、燐光群『憲法くん』(台本・演出 坂手洋二)の監修を務めた。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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