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欠陥だらけの土地規制法案――政府の裁量濫用で市民活動制限の恐れ

政府は今国会で成立目指すが、立法の必要性みあたらず

馬奈木厳太郎 弁護士

3.筆者のスタンス~自衛隊の憲法判断は機能ごとになされるべき

 法案の内容を見ていく前に、私の立ち位置というか、スタンスについて、法案の前提にかかわるものでもあり、読者のみなさんとの関係でも公正だろうと思いますので、先に少し触れておきたいと思います。

 私自身は、日本国憲法に照らして、自衛隊という組織がまるごと違憲だと解釈されることはないという立場です。

 日本国憲法は自衛隊という組織を違憲だと明示してはいませんし、そもそも日本国憲法には自衛隊という文言がありません(日本国憲法の制定が自衛隊の成立よりも先なので当然ですが)。実際にも、自衛隊という組織は様々な役割を担っていますし、そうした点を見ることなく一刀両断的に憲法判断を行うことには私自身は否定的です。

拡大イラクへ派遣され、移動中に周囲を警戒する自衛隊員。活動は非戦闘地域限定とされたが、戦闘地域ではないかと議論がある地区が拠点となった=2004年3月、サマワ近郊
拡大海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」で、相互運用性の向上をねらいに米海兵隊オスプレイの発着艦訓練が行われた=2016年7月、鹿児島県沖

 むしろ、第9条との関係では「戦力」に該当するか否かが一つの問題となってきたわけで、該当するか否かは、自衛隊が有する様々な機能について、機能ごとに判断されるべきだと考えています。

 たとえば、自衛隊が果たしている災害救助の活動について、これを違憲などという必要は全くないと考えています。同様のことを消防隊員が行ったら合憲で、自衛隊員だったら違憲などと解するのはナンセンスでしかありません。

拡大九州豪雨の被災地で、自衛隊員に救命ボートで救助された赤ちゃん=2020年7月7日、福岡県大牟田市の上屋敷地区
拡大事故を起こした福島第一原発へ上空から水を投下するため出動した陸上自衛隊のヘリコプター=2011年3月17日

いかなる機能を保全するのか、憲法適合的か、新たな立法が必要か

 こうした私のスタンスをふまえて、今回の法案についていえば、たとえば自衛隊のいかなる機能を保全しようとするのか、その目的は憲法適合的なものか、憲法適合的だとして、そのために現行法では不十分であり、新たな立法を必要とする事情があるのか、こういった観点から評価することになります。以下、詳しくみていきたいと思います。

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筆者

馬奈木厳太郎

馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう) 弁護士

1975年生まれ。大学専任講師(憲法学)を経て現職。 福島原発事故の被害救済訴訟に携わるほか、福島県双葉郡広野町の高野病院、岩手県大槌町の旧役場庁舎解体差止訴訟、N国党市議によるスラップ訴訟などの代理人を務める。演劇界や映画界の#Me Tooやパワハラ問題も取り組んでいる。 ドキュメンタリー映画では、『大地を受け継ぐ』(井上淳一監督、2015年)企画、『誰がために憲法はある』(井上淳一監督、2019年)製作、『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』(平良いずみ監督、2020年)製作協力、『わたしは分断を許さない』(堀潤監督、2020年)プロデューサーを務めた。演劇では、燐光群『憲法くん』(台本・演出 坂手洋二)の監修を務めた。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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