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自民党、衆参3選挙全敗の衝撃 政治の地殻変動は起きるのか? 

菅政権に対する有権者の不満が表れた結果か。総選挙に向けて自民、立憲はどう動く?

星浩 政治ジャーナリスト

 参院長野選挙区と衆院北海道2区の補欠選挙、参院広島選挙区の再選挙が4月25日に投開票され、自民党が長野と広島で野党候補に競り負け、候補者を出さなかった北海道2区と合わせて「3敗」となった。

 今回の補選・再選挙は、新型コロナウイルス対策で苦戦している菅義偉政権の評価が問われたとともに、今秋までには行われる衆院の解散・総選挙の行方を占うものと言える。「全敗」は菅政権に対する有権者の不満が表れただけでなく、民意の地殻変動が起きているとも読み取れる。選挙結果と今後の政治の動向を読み解いてみよう。

拡大参院広島再選挙に勝利し、 選挙戦を共にしたスタッフから花束を受け取って笑顔を見せる宮口治子氏(中央)=2021年4月25日、広島市中区

国民の不満のマグマが招いた自民党の敗北

 投票結果は以下の通りだ。

・衆院北海道2区:当選=松木謙公氏(立民、元)59664票 次点=鶴羽佳子氏(無所属、新)27355票
・参院長野選挙区:当選=羽田次郎氏(立民、新)415781票 次点=小松裕氏(自民、新)325826票
・参院広島選挙区:当選=宮口治子氏(無所属・野党系、新)370860票 次点=西田英範氏(自民、新)336924票

 衆院北海道2区の補選は、同区選出の吉川貴盛衆院議員(自民)が農林水産相在任中に鶏卵業者から500万円の資金提供を受けたとして収賄罪で在宅起訴され、議員辞職したことに伴う選挙。自民党は収賄事件を「反省する」として公認候補の擁立を見送り、「不戦敗」となった。

 参院長野選挙区は、立憲民主党の現職だった羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う補選。羽田氏の実弟の次郎氏が出馬し、「弔い選挙」となったことから羽田氏優勢とみられていた。

 参院広島選挙区は、2019年の参院選で河井案里候補(自民)が大規模な選挙違反(買収)を犯したとして有罪が確定、選挙が無効になったことに伴う再選挙。自民党は「出直し」を掲げて経済産業省の官僚だった西田氏を擁立したが、「お詫び」から始まる選挙は有権者から評価されなかった。

 3選挙とも自民党には不利な状況下だったため、「全敗はやむを得ない。菅政権への影響は深刻ではない」という声は自民党内から多く聞かれる。しかし、一連の選挙結果は、自民党の足元が揺らいでいる表れとも見える。

 菅政権のコロナ対策が後手に回り、3回目の緊急事態宣言が出されたが、収束の見通しは立たない。安倍晋三政権での「桜を見る会」をめぐる公私混同をはじめ、河井克行元法相・案里夫妻の選挙違反事件、菅首相の長男が絡んだ総務省の接待スキャンダルなど不祥事は後を絶たない。コロナ禍で経済格差が広がっていることもあり、国民の不満はマグマのようにたまっている――。

 こうした状況が国政選挙での自民党の敗北につながったことは間違いない。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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