星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト
1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
菅政権に対する有権者の不満が表れた結果か。総選挙に向けて自民、立憲はどう動く?
予兆はあった。
3月に投開票された千葉県知事選。千葉市長から転じ、立憲民主党などが推した熊谷俊人氏が140万票を獲得。自民党推薦の元県議・関政幸氏に100万票以上の大差をつけて圧勝した。自民党支持層の多くが熊谷氏に投票したことは明らかで、自民党支持層の変化を示した。
この選挙期間中、立憲民主党の中村喜四郎元建設相は、千葉県内の中堅の建設会社を回った。中村氏はかつて、自民党の田中・竹下派に所属。党総務局長として選挙の実務を担当し、建設業界とのパイプも築いた。千葉県内の建設会社にも顔が利く。「こんどの知事選、熊谷さんが強いんですよ。おたくもぜひ、協力してほしい」と話しかけた。もともとは自民党支持の建設会社だが、中村氏の呼びかけに「考えてみます」と応じたという。
野党が選挙で自民党を倒すには、野党陣営の支持固めだけでは足りない。自民党の足元を突き崩して野党側に取り組むしかない。中村氏はそう思い定めて自民党に揺さぶりをかけ、千葉県知事選では手ごたえを感じた。そして、いまは総選挙に向けた戦略を練っている。
思い返せば、自民党が民主党に大敗し政権を失った2009年の総選挙では、多くの自民党支持者が民主党に投票するという前代未聞の出来事が起きた。各種の世論調査が明らかにしたのは、自民党支持者の3割が民主党候補に投票するという驚愕のデータだった。
当時、自民党本部の選対関係者が、こう解説してくれた。
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