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衆参補選・再選挙の結果が意味するものは今の野党への期待ではない

次期衆院選に向けて野党にとって逆風になる可能性も

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

「勝った」と誤解すれば衆院選で野党は惨敗

 今回、三つの選挙に勝利した野党勢には、この勢いをこのまま次期衆院選につなげたいという考えがあるようだが、それには疑問を禁じ得ない。というのも、前述したように、補欠選挙や再選挙と異なり、衆院選では次の政権を選択する「政権選択」が、有権者の投票行動を支配するからだ。参院通常選挙も、結果次第では政権交代につながるので、衆院選ほどではなくとも、「政権交代」の是非が投票行動を左右すると言っていい。

 たとえて言えば、補欠選挙では、まな板の上に現政権を置いて料理をするが、本選挙では、現政権とそれに代わろうという勢力の両方をまな板の上に置いて厳しく比較する。そのうえで、未知の新しい勢力のほうをより厳しく切り開くのである。

 私が危惧するのは、野党が三つの選挙を「勝った」と誤解することだ。そうではなく、現政権の業績や能力に対して、有権者が不合格の評価をくだしたと見るべきだろう。投票率が最も高い参院長野選挙区補選でも44.40%、参院広島選挙区再選挙では33.61%、衆院北海道2区補選で30.46%と低調に終わったことにも注意を払うべきだ。野党に対して熱い期待があれば、こんな低投票率のはずがない。現政権に失望している自民党支持者が棄権したのだろう。

 野党が自分たちは勝ったのだと誤解すれば、本選挙たる衆院選に向けて「現体制を補充、強化する」という方向で進んでしまう。指導者も体制も戦略も、これまで通りで何も変わらないだろう。もしそうであれば、衆院選で“負ける”どころか、“惨敗”の憂き目に遭うことは間違いないと私は思う。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

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