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反腐敗策の四つの経路

ロビイ活動、多国籍企業、テロ活動への規制と人権保護

塩原俊彦 高知大学准教授

反腐敗への道

 反腐敗への経路をたどると、四つの経路がある(2021年に発足したバイデン政権によってもう一つ別の経路が生まれているが、それについては近く公表する別の論考で詳しく論じる予定だ)。

 一つは、反ナチスからはじまるロビイスト規制の流れである。1938年にロビイング活動に資金を提供する資金源を開示するための法律、外国工作員登録法(Foreign Agents Registration Act, FARA)が制定される。これはナチスによる宣伝を防止するねらいがあった。この法律は国内のロビイスト、すなわち特定の政策実現のための仲介者がナチスの工作員となることを抑止するために外国工作員の情報開示を求めるものであったのだ。

 このFARAの情報開示による法的効果の発揮という特徴が第二次世界大戦後、1946年の連邦ロビイング規制法(Federal Regulation of Lobbying Act, FRLA)の制定につながっている。

 また、当初のFARAでは、外国の政治宣伝活動の登録と開示だけを求めおり、政治献金については規制がなかったが、1962年から翌年にかけて、連邦の公職の候補者に対するフィリピンの製糖製造業者とニカラグアのアナスタシオ・ソモサ大統領による寄付が暴露されたことから、1966年にFARAが改正され、外国の政府、政党、会社、または個人が連邦選挙に寄付することを禁止する。1976年の修正連邦選挙運動法により、FARAの寄付禁止規定が修正法で拡大・継承された。

 その後、州選挙や地方選挙に関する資金や政党自体に関する資金など、いわゆる規制対象外の「ソフトマネー」が問題になった。そこで2002年制定の超党派選挙運動改革法による法改正で、ソフトマネーも規制対象となり、外国人による寄付が禁止されたのである(合衆国法典第2編第441条e)。こうして、選挙資金の規制強化という道筋での反腐敗政策が枝分かれしてゆくのである。

 他方で、FRLAをより強化する動きも

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

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