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東京五輪への看護師500人派遣で24万人のワクチン接種が遅れる?

世田谷区長のツイートを基にシミュレーションして見えた驚きの数字

大濱﨑卓真 選挙コンサルタント

 東京五輪パラリンピック組織委員会が日本看護協会に対し、五輪開催期間中、看護師500人をボランティアとして派遣するよう要請した。筆者は、新型コロナ感染の「第4波」のさなかに、そしてワクチンをいかに早く国民に接種するかが問われている国家の非常事態において、なんと暢気なことを言っているのだろうかと、開いた口がふさがらない。

 この無償ボランティア看護師500人派遣が、コロナ対策にどれほど深刻な影響を与えるか。シミュレーションを基に考えてみたい。

拡大定例会見で話す東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長=2021年4月23日、東京都中央区

五輪組織委の要請内容を分析する

 まず、五輪組織委が日本看護協会に要請した内容を確認しておきたい。なお、この要請文は「非公表」になっており、原文にあたることはできないので、メディア報道などを参考にする。

 毎日新聞の報道(4/26)によれば、「日数=原則5日以上▽活動時間=1シフト当たり9時間程度▽組織委が提供、負担=活動中の飲食、交通費、宿泊施設、各種賠償保険」と記載されていることから、1人の看護師が5日以上、1シフト当たり9時間程度業務にあたるということがわかる。

 ボランティアであれば労働基準法は適用されないのだろうが、活動時間は「実働8時間、休憩1時間」の可能性もあるだろう。実際、筆者が独自に入手したスポーツ関係団体への要請文書には「1シフトあたり9時間程度(1時間程度の休憩含む)を予定」との記載もある。

 また、しんぶん赤旗の報道(4/25)では、要請文書のおよそ半分程度が画像で公開されている。ここから読み取れる内容は、この5日間は必ずしも連続した5日間ではなくてもいいということで、実質的なシフト制であり、早朝・深夜帯も含むことがわかる。また記事に「大会前の5~7月に予定される役割別研修の参加は『必須』」とあり、拘束時間はさらに長いと推測される。

 この点についても、筆者が独自に入手した前述の文書では、「役割別研修(都内にて1日程度、別途 e-learning 有)」、「会場別研修(会場にて1日程度)」を「1日あたり半日~8時間程度」とあり、少なく見積もって半日が2回だとしても、研修で更に実働8時間は拘束される計算だ。

 以上まとめると、この要請では、「看護師500人に対し、五輪開催期間中には最低5日×8時間の実働、さらには研修でも少なくとも8時間程度、併せて48時間の実働をお願いする」ことになる。

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筆者

大濱﨑卓真

大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント

1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。

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