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ワクチン接種をめぐる「想像力の萎縮」という病

政治家も公務員も「道徳的明快さ」に欠けてはならない

塩原俊彦 高知大学准教授

「スギホールディングス」という「悪い奴ら」

 いま、日本の公務員は「想像力の萎縮」という病にかかっているのではないかと思う。それを痛感したのは、ワクチン接種をめぐる各地方自治体での混乱ぶりである。すでに拙稿「ドイツが教える日本で予想されるワクチンをめぐる不正と混乱:「悪い奴ら」への対策を急げ」でも指摘したように、ワクチンの優先接種をめぐる「圧力」がかかることははじめから十分に予想された事態であり、想像力を働かせれば、そのための対処措置をあらかじめしっかりと準備できたはずなのだ。

拡大スギホールディングスの杉浦広一会長=2020年11月25日、名古屋市

 この「悪い奴ら」の典型は、スギ薬局を展開する「スギホールディングス」をめぐる事件であろう。中日新聞電子版は2021年5月11日、「副市長がワクチン接種で便宜 スギHD会長夫妻に、愛知・西尾」という記事を配信した。

 新型コロナウイルスワクチンの接種を巡り、愛知県西尾市の近藤芳英副市長がスギ薬局を展開する「スギホールディングス」(HD、同県大府市)創業者で西尾市在住の杉浦広一会長(70)と、妻の昭子相談役(67)の予約枠を優先確保するよう、市の担当部署に指示していたことが分かった。近藤副市長は本紙の取材に指示を認め「夫妻は市への貢献度も大きく、忙しいお二人なので担当部署に依頼した」と釈明。本紙の取材を受け、市は急きょ夫妻の予約を取り消した。 

 このように記事は伝えている。ここで問題になるのは、ワクチン接種をめぐって圧力をかけたスギHD側と、それに

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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