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女性・女系天皇容認に向け、まずは女性宮家創設を

「皇位の安定継承」維持に迫るタイムリミット。有識者会議は議論加速を

登 誠一郎 元内閣外政審議室長

4年近くの空白

 皇室制度に関する近年の最大の問題は、皇位の継承が男系男子に限られている(皇室典範第2条)ことであり、男系男子の皇族の数が減少するにつれて、皇位の安定的継承の維持に不確実性が生じていることである。この背景に基づき、国会は、2017年6月に天皇退位の特例法を制定した際の付帯決議において、安定的な皇位継承を確保するための諸課題を、速やかに検討して報告するよう政府に求めた。

 それから4年近くが経過した本年3月になって、ようやくこの問題を検討するための有識者会議が設立され、これまでに専門家からのヒアリングが3回行われた。国会からの要請以降これだけの時間が経過したにもかかわらず、これまでの会合の議事録や報道から見ると、審議には切迫感や緊張感が見られず、5月10日に開催された3回目のヒアリングについては、翌日の朝日新聞もわずか数行で開催の事実のみを報じた。また加藤勝信官房長官が第1回の会合で「スケジュールありきではなく、落ち着いた議論をしっかりやっていただきたい」と述べたことに表れているように、報告書取りまとめ時期のめども立っていない。

拡大疫病退散の言い伝えがある福島・会津地方の民芸品「赤べこ」などを前に笑顔を見せる天皇、皇后両陛下と長女愛子さま=2020年12月21日午後、赤坂御所、宮内庁提供

政府は議論急がぬ様相

 政府内部には、皇室典範の規定に従い秋篠宮家の長男・悠仁さままでの皇位継承順位は決まっているから、安定的皇位継承の議論は急ぐ必要がない、との考えが支配的との観測がある。

 しかしながら、女性天皇と、母方にのみ天皇の血をひく女系天皇のどちらについても、世論の7割以上が「認めてよい」としている現実に照らすと、今年12月に20歳になる天皇家の長女・愛子さまが結婚適齢期に近づく両三年以内に結論を出さないと、50歳以下の皇位継承有資格者は悠仁さま一人に限定されてしまい、安定的皇位継承は極めて危うい局面を迎えることとなる。

 そもそも、安定的皇位継承を検討するためには、小泉純一郎内閣時代の2005年11月に、「皇室典範に関する有識者会議」の報告書が提出されているが、今回の有識者会議は、それとどこが違い、何を追究しているのであろうか。また、その後2012年10月には野田佳彦内閣が、皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえて、女性宮家の創設を含む論点整理をまとめたが、それは今回の作業において如何に活用されるのであろうか。

「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」拡大安定的な皇位継承のあり方を議論する「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」の初会合で発言する菅義偉首相(左)。右隣は座長の清家篤氏=2021年3月23日、首相官邸
拡大天皇陛下の退位を実現する特例法を可決した参院本会議。特例法を審議した衆参両院の委員会は付帯決議も可決し、政府に「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」の検討を求めた=2017年6月9日

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筆者

登 誠一郎

登 誠一郎(のぼる・せいいちろう) 元内閣外政審議室長

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、外務省入省(1965)、駐米公使(1990)、ロサンジェルス総領事(1994)、外務省中近東アフリカ局長(1996)、内閣外政審議室長(1998)、ジュネーブ軍縮大使(2000)、OECD大使(2002)を歴任後、2005年に退官。以後、インバウンド分野にて活動。日本政府観光局理事を経て、現在、日本コングレス・コンベンション・ビューロー副会長、安保政策研究会理事。外交問題および観光分野に関して、朝日新聞「私の視点」、毎日新聞「発言」その他複数のメディアに掲載された論評多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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