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女性・女系天皇容認に向け、まずは女性宮家創設を

「皇位の安定継承」維持に迫るタイムリミット。有識者会議は議論加速を

登 誠一郎 元内閣外政審議室長

画期的な小泉内閣の有識者会議報告を忘れてはならない

 2005年の有識者会議は、約1年をかけて皇位の安定的継承に必要なあらゆる要素を慎重に検討した結果、「古来続いてきた男系継承の重さや伝統に対する国民の様々な思いを認識しつつも、我が国の将来を考えると、皇位の安定的な継承維持のためには、女性天皇・女系天皇への途を開くことが不可欠であり、広範な国民の賛同を得られるとの認識で一致するに至った」との結論を提言している。

 小泉内閣は、これに基づいた形で皇室典範の改正法案を準備したが、翌2006年2月初めに、秋篠宮妃の紀子さまのご懐妊を宮内庁が発表してからは、慎重な態度に変わり、同年9月の悠仁さまのご誕生により、皇室典範改正法案は国会に提出されることなく現在に至っている。

拡大赤坂御用地の庭でシャボン玉で遊ぶ秋篠宮ご夫妻の長男悠仁さまと長女眞子さま、次女佳子さま=2018年8月10日、東京・元赤坂、宮内庁提供
 この報告書は、女性天皇・女系天皇を認めたことに加え、皇位継承順位は男女を問わず長子優先とすること、さらには女性宮家の創設も認める内容であり、安定的皇位継承に向かって画期的な提言である。保守層の一部はこれに反発したが、世論の大多数は21世紀に入ってから一貫して女性天皇・女系天皇に賛成であり、NHKの調査によると、悠仁さま誕生後でも女性天皇支持者はむしろ増大した(2006年2月の71%から09年11月の77%へ)。

 この報告書は、小泉内閣の退陣とともに消滅したわけではなく、今回の有識者会議の配布資料の中にも、報告書の「概要」として1ページのメモが添付されている。しかしその結論部分の表現は、「安定的皇位継承のためには、女性天皇・女系天皇への途を開くことが不可欠」という提言の重要な結論が掲載されずに、「女子・女系への拡大は、象徴天皇制を安定的に維持するうえで、大きな意義」という別の部分からの引用となっているなど、意図的か否かは承知しないが、正確な「概要」とは言い難い面も否定できない。

今回の会議は従来の成果を基に速やかに報告作成を

拡大女性・女系天皇を容認するとする報告書を小泉純一郎首相に手渡す「皇室典範に関する有識者会議」の吉川弘之座長(左)=2005年11月24日、首相官邸
 2005年の有識者会議当時と今日の大きな違いは、その間に悠仁さまのご誕生があったことである。しかし前述の通り、50歳以下の皇位継承資格者が一人だけという状態では、安定的な皇位継承の維持が確保され難いことには変わりない。これが、2017年の天皇退位の特例法に付帯決議が行われた理由であり、その後の4年近くが空費されたことは大変遺憾である。

 したがって、今回の有識者会議は、本来的には2005年の報告書をベースとして作業を行うべきであり、専門家のヒアリングは既に13名から行ったのであるから、今後はそれを参考として議論を重ね、2005年の報告書の提言の中で修正すべきものを修正し、さらに2012年の女性宮家創設を含む論点とりまとめの内容も加味したうえで、最終的にはこれら三つの有識者会合の成果を一体化した報告書を速やかに作成すべきではないかと考える。

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筆者

登 誠一郎

登 誠一郎(のぼる・せいいちろう) 元内閣外政審議室長

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、外務省入省(1965)、駐米公使(1990)、ロサンジェルス総領事(1994)、外務省中近東アフリカ局長(1996)、内閣外政審議室長(1998)、ジュネーブ軍縮大使(2000)、OECD大使(2002)を歴任後、2005年に退官。以後、インバウンド分野にて活動。日本政府観光局理事を経て、現在、日本コングレス・コンベンション・ビューロー副会長、安保政策研究会理事。外交問題および観光分野に関して、朝日新聞「私の視点」、毎日新聞「発言」その他複数のメディアに掲載された論評多数。

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