このまま権威主義的な抑圧された国になってゆくしかないのか
2021年05月28日
ケンブリッジ大学政治学教授、デイヴィッド・ラシマンは『民主主義の壊れ方』(白水社、2020年)のなかで、「西欧民主主義は『中年危機』にあるのだ」と指摘している。日本の民主主義の出発点をどこに置くべきかについては議論があるにしても、その民主主義も制度疲労を起こし、それが「ニッポン不全」という全体状況につながっているのではないか。こうした見地から、ここでは日本の民主主義の問題点を世界的な民主主義の危機と比較しながら論じてみたい。
言論NPOが2019年5月から6月にかけて全国の18歳以上を対象に訪問留置回収法で行った有効標本調査1000人の回答をみると、「機能している」、「どちらかといえば機能している」が55.5%と半数を上回っているが、「機能していない」、「どちらかといえば機能していない」も19.8%と2割近く存在する(図1参照)。
しかし、同じく言論NPOの2019年9月実施の世論調査結果によると、「日本の民主主義の状況に満足しているか」と訪ねると、「満足している」、「どちらかといえば満足している」という回答が43.7%で、過半数を下回る(図2参照)。「満足していない」、「どちらかといえば満足していない」は40.7%で、その差はごくわずかである。
興味深いのは、「民主主義を構成する各機能をどの程度信頼しているか」という質問に対する回答である。図3からわかるように、政治家に対する信頼度は、「とても信頼している」と「ある程度信頼している」を合わせても20.1%にとどまった。政党についても、29.6%にすぎない。国会(議会)への信頼度も36.2%で、信頼されているとは言い難い。
実は、世界の潮流をみても、政治不信が広がっていることがわかる。ラシマンは、「今ほど有権者が選挙で選ばれた政治家を忌み嫌い、信用しない時代はない」とはっきりと記している。筆者は授業で、「政治家を見たら泥棒と思え」と教えている。これは、ろくな仕事もせず、税金を泥棒しているという意味だが、何よりも「政治家に騙されるな」ということを強調するための警句として使っている。
現代の民主主義の危機は、過去のまだ若い段階にあった民主主義が直面した危機と三つの点で異なっているとラシマンは指摘している。第一の違いは、
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