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政治改革がめざした二大政党は幻想で終わるのか~2021政治決戦 何が問われるのか①

未曽有の危機に陥った日本が総選挙で選択するものは……

星浩 政治ジャーナリスト

二大政党制をはばむ幾つものハードル

 現行の小選挙区比例代表並立制は1990年前後の政治改革論議の中で、政治学者の佐々木毅東大教授(のちに東大総長)らが主導して制度設計された。自民党の幹事長を務めた小沢一郎氏らの離党、新党結成など多くのドラマを経て、関連法案の成立にこぎつけた。

 これは、衆院の選挙制度を中選挙区制から小選挙区中心の制度に改めることで、政権交代可能な二大政党政治をめざそうという改革だった。ただ、そこには多くの問題があったことも確かだ。

 自民党には後援会を中心に幅広い支援組織がある。創価学会という強力な支援団体を持つ公明党が自民党と連立を組めば、組織力は圧倒的となる。かつての民主党、いまの立憲民主党は労組の組織力に期待するが、労組の集票力は弱まっており、自公勢力に対抗できる政治勢力はできないのではないか。

 また、衆院は小選挙区制で二大政党が争うにしても、参院には複数を選ぶ選挙区がある。都道府県議、市区町村議の選挙は中選挙区や大選挙区も多い。このため、地方では自民、公明両党や保守系無所属議員が圧倒多数を占め、立憲民主、共産両党などの勢力は弱い。このように、二大政党制に向けたハードルはいくつも残されていた。

 大阪を中心に台頭してきた日本維新の会も、小選挙区比例代表並立制の産物と言える。維新は「大阪ナショナリズム」ともいえる個別政策を掲げ、リーダーだった橋下徹氏や松井一郎氏は、安倍首相や菅官房長官との個人的関係を誇示して、政権に近い野党という立ち位置を取った。

 小選挙区の定数は大阪府が19、隣の兵庫県が12、近畿全体の比例区定数は28という環境で、例えば2014年総選挙では41議席を獲得した。全国規模の政党でなくとも、国会のキャスティングボートを握るような勢力を確保できる。二大政党制とは相いれない動きが顕在化してきたのである。

二大政党の対決、政治家同士の憎悪が分断を生む

 小選挙区制を通じて、政策本位の議論が活発に行われる二大政党制を実現するという、制度の導入を進めた際の期待とは異なる動きも出てきた。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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