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「国民政党か、安倍私党か」 LGBT理解増進法をめぐる自民党内の攻防

左右の固定観念を攪乱する、つながりと切断の無数の連鎖反応

木下ちがや 政治学者

産経新聞に糾弾された稲田朋美氏

 5月20日、自民党の会合後のインタビューで、山谷えり子参議院議員が「女子の競技に、男性が心は女性だからと参加してメダルを取ったり、そういう不条理なこともあるので、少し慎重に」と発言した。この発言と、この会合内の「(LGBTは)種の保存に背く」という発言者不明のコメントが混同されていっせいに報道され、山谷氏への非難の声があがった。

 翌日21日には日本共産党の田村智子政策委員長が「山谷氏の発言を見れば、トランスジェンダーに対する敵視と憎悪、差別と不理解を振りまくような大変許しがたい人権侵害の発言だ」と批判(注2)。この過程で「種の保存」発言をしたのは自民党細田派の梁和生衆議院議員であったことが発覚したものの、無名の同議員の存在感はなく、山谷氏だけがクローズアップされたままに、抗議署名が集められ、30日から31日にかけて自民党本部前で抗議集会が行われた。

 こうした非難に対して、LGBT理解増進法案に懐疑的な自民党内右派はいっせいに反発し、27日の自民党政調審議会はなんとかクリアしたものの、翌28日の総務会は紛糾し、法案の扱いは党三役に一任された。だが三役のひとり佐藤勉総務会長は法案の「成立は難しい」とし、早々に見送りを宣言したのである。

 もはや万策は尽きた、と思われた29日の午後、稲田朋美特命委員長がTwitterに「私はまだ諦めていない。国会はまだ、2週間以上

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筆者

木下ちがや

木下ちがや(きのした・ちがや) 政治学者

1971年徳島県生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、工学院大学非常勤講師、明治学院大学国際平和研究所研究員。著書に『「社会を変えよう」といわれたら」(大月書店)、『ポピュリズムと「民意」の政治学』(大月書店)、『国家と治安』(青土社)、訳書にD.グレーバー『デモクラシー・プロジェクト』(航思社)、N.チョムスキー『チョムスキーの「アナキズム論」』(明石書店)ほか。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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