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「野党共闘」の新しいフェーズ

立憲にとっては「共産抜き」も「国民民主抜き」もありえない

平河エリ ライター

 2021年の政治状況において、民主党下野以降では珍しい現象が起きている。立憲民主党・枝野幸男代表の著書『枝野ビジョン』(文春新書)がベストセラー入りするなど、野党第一党である立憲民主党に対する注目度が上がっていることだ。支持率の上昇は小幅にとどまるものの、比例での投票意向や、都議選の投票意向の調査では、これまでの野党第一党には久しくなかった存在感を示している。

 他方、国民民主党・玉木雄一郎代表が共産党との選挙協力に難色を示す、立憲民主党議員と共産党議員の対談本の出版が延期(朝日新聞デジタル2021年5月26日付)になるなど、未だに野党間の連携には一定のハードルがあることも、度々報道されているとおりだ。

 また、日本のナショナルセンター、連合(日本労働組合総連合会)の東京支部である連合東京が2021年6月1日付けで発表した声明の中では「共産党と与しないこと、違反行為がある場合には推薦等の支援を取り消すことになっている」と支援や推薦の見直しなどについて言及するなど、立憲民主党にとって最大の支持母体である連合との軋轢も深まっているように見える。

 本稿では、9月までに必ず行われる総選挙を前に、改めて「野党共闘」の歴史と現在位置について論じることにする。

共産党を含めた野党共闘はすでに前提となった

拡大新立憲民主党代表選を前に会場前で言葉を交わす枝野幸男氏と泉健太氏=2020年9月10日、東京都千代田区
 

 2020年、旧・立憲民主党と旧・国民民主党が合流し、新しい野党第一党としての立憲民主党が誕生した。

 新党発足後に行われた代表選がこれまでの民主党系政党の代表選と決定的に違った点は、いわゆる「野党共闘」、つまるところ、共産党との関係がほとんど争点にならなかった点にある。

 結党にともなう枝野幸男・泉健太両衆院議員による代表選挙は、争点が少なく退屈な選挙である、という評もあったが、合流前のゴタゴタとは対照的に、波風の立たない代表選だったと言える。

 泉氏は、日本共産党が最も強く、それゆえ民主党系政党と共産党との軋轢がもっと深い京都選出の議員である。また、泉氏はかつて枝野氏が前原誠司元外相と結成した政策グループ「凌雲会」に所属していたが、凌雲会は共産党とは一線を画す党内保守派として知られていた。にもかかわらず「野党間の協力」がほとんど議題にならなかったことは、日本の野党政局において共産党を含めた「共闘」がすでに争点ではなく、前提であることを強く印象づける結果となった。

 日本の政治史は、「反共」を中心に回ってきたと言っても過言ではない。自由民主党は、当時左右合同しまたソビエト連邦が一定の影響力を持っていた社会党に対抗するため、自由党と日本民主党が合同することによって結党されたことが一例である。

 すでにソビエト連邦が崩壊し、共産党が暴力革命を放棄し、日本社会党が社会民主党と名前を変えミニ政党に変わってもなお、「反共」は保守派のイデオロギーとして脈々と根付いている。それは、連合や民主党系政党の中にいる保守派にとってもそうだ。

 2012年の政権下野後、2013年の参院選において、幹事長となった細野豪志元環境大臣は調整能力を欠き、野党が乱立した結果いわゆる「1人区」で全敗(0勝19敗)。民主党史に残る惨敗を喫する。

 2014年の衆院選において、民主党は維新の党・生活の党などとの選挙協力を進め前回の57から73と一定の議席回復を実現するも、自民党の大勝、海江田万里代表の落選という結果を招いた。その間隙を縫って前回の8から21へ議席を伸長させたのが、日本共産党である。党勢回復が遅れる民主党を尻目に、都市部の若い有権者も取り込み、議会における存在感は増していった。この2回の選挙により、反自民票の分散状況の中では野党は議席を伸ばすことすら難しいことが明らかになっていった。

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筆者

平河エリ

平河エリ(ひらかわ・えり) ライター

早稲田大学卒。ブログ「読む国会」を主宰。議会政治・選挙・公共政策などを専門分野として、WEZZY、現代ビジネス、ハーバー・ビジネス・オンラインなど各種媒体に執筆。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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