メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「赤木ファイル」をめぐる放送を何とか出せた

[240]『ノマドランド』、近畿財務局の池田元統括官、大人食堂……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

「赤木ファイル」の放送を終えて、取材当日のメモを追記

5月1日(土) 局に向かうために新横浜から東京駅へ新幹線の自由席に飛び乗ってしばらくしたら、午前10時27分、宮城県石巻市沖で地震が発生、新幹線が突如停止した。あらら。まさかこのまま車両から出られないことはないだろうと思ったが、不安がよぎった。車内アナウンスが入り、点検中であるとのこと。その際、気づいたこと。車両内の電源が落ちる。だから空調が効かなくなる。真夏だったら車内は大変なことになるだろう。ドアも開かなくなる。さいわい15分ほどして動き始めたが。東北の状況が心配だ。

地震発生で急停止した新幹線車内拡大地震発生で急停止した新幹線車内=撮影・筆者

 「報道特集」のオンエア。前半は、取材を続けてきたいわゆる「赤木ファイル」をめぐる特集。後半の特集は、ジェンダー・ギャップをめぐって。兵庫県豊岡市の行政の取り組みなど。

 A君にスタジオ見学をしてもらう。後半の特集では、スタジオで、ルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の話をした。時間があれば、アカデミー賞の主演女優賞、助演女優賞の話もしたかったが叶わず。

 「赤木ファイル」のオンエア、無事終了。かなりの反応があった。なかでも、故・赤木俊夫さんの元上司・池田元統括官への路上インタビューに対して、さまざまな反応があった。

5月1日の「報道特集」より=筆者提供拡大5月1日の「報道特集」より=筆者提供

 実際に路上インタビューを行ったのは4月14日だったが、その日の日誌には書けなかった。この日誌にもやはりリアルタイムでは書けないことがある。放送前に書いてしまうとさまざまな困難なことが起きてくるからだ。

[238]赤木雅子さんと小泉今日子さんに会う

 それで、放送が終わったら記してもいいかな、と思った当日のメモを以下に追記しておく。

4月14日、朝、6時前、兵庫県伊丹市内のホテルをチェックアウト。長期間取材している森友学園・財務省公文書改ざん事件の取材だ。C、T両ディレクターと、Mカメラクルーの盤石の態勢で望む。
 本省(財務省)からの指示で文書の改ざん作業をさせられた近畿財務局の赤木俊夫さんが2018年3月、自殺した。財務省の佐川理財局長(当時)が「文書は残っていない」と国会答弁した直後に、彼は日曜日に上司に呼び出され、佐川答弁に合わせた形で文書の改ざん作業を深夜に及ぶまで連日行った。現場で相当に抵抗したが、結局はやらされた。
 律儀な俊夫さんは、改ざんの過程を詳細に記録してファイルにしていた。それが「赤木ファイル」と呼ばれるもので、最重要文書のひとつだ。大阪地検特捜部による家宅捜索の際、押収あるいは任意提出されていた。このファイルの存在について、遺族の赤木雅子さん(妻)に伝えたのは、俊夫さん本人、および直属の上司・池田靖統括官(当時)だ。
 池田氏は、直後からマスコミの取材を頑なに拒んできた。その彼に直接取材しようというのだ。通常ではやらない取材手法だが、朝の出勤途中に公道上で本人に直接話を訊くという取材方法をとった。早朝7時過ぎに自宅を出ると、池田氏は僕らが乗っていた車(大型のバン)をみて、何かを察知したのか、普段とは異なる通勤路を進んで行ったようにみえた。池田氏の出勤ルートは、Tディレクターが事前に調べてあった。ほんの一瞬のことで、正直、僕は池田氏が自宅玄関を出てきた場面を見逃していた。「出てこられましたわ」と僕らに伝えてくれたのは、車の運転手さんだった。
 急いで車から飛び降りて僕らは走り出した。池田氏を追いかけた。1、2分後に追いついた。
・・・ログインして読む
(残り:約1875文字/本文:約4901文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

金平茂紀の記事

もっと見る