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今度こそ国民投票CM規制の議論を進めよ~14年を空費した与野党と放送界の不作為

護憲派は国民投票法を改憲反対の具に使わず、衆愚思想から脱却を

石川智也 朝日新聞記者

民放連は国会で「真摯に検討します」

 国民投票法は、第一次安倍政権下の2007年5月に成立した。公務員の運動規制や諮問型投票制度などさまざまな問題が積み残しとなり、3年後の法施行までに「検討」すべき事項など18もの付帯決議がなされたが、その一つにCM問題があった。こんな内容だ。

 「テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重するとともに、本法施行までに必要な検討を加えること」

 当時の与党と民主党の法案はともに、「冷却期間」を設けるためとして投票7日前からのCM禁止規定を盛り込んでいた。しかし放送界は表現の自由に抵触しかねないとして法規制に強く反対した。2006年11月、衆院の日本国憲法に関する調査特別委員会小委員会の参考人聴取で、日本民間放送連盟の山田良明・放送基準審議会委員(当時)は、CMの取り扱いについて「自主的判断に任せてもらいたい」と繰り返し訴えた。そのうえで、量的・質的な公平さ、公正さを担保する仕組みについて「民放連の中で大きな括りとして明確なルール作りは必要」「具体的にあらゆることを想定しながら真摯に検討をしていきたい」と述べた

 国民投票運動には、選挙と違って費用の制限はない。一定の禁止期間を設けても、改憲案発議から投票日までの60~180日間の大半は自由にCMを流し賛否を呼びかけられることになり、資金力に恵まれた陣営が優位になるという懸念が指摘されていた。つまり、量的公平性の確保も当初から課題として明確に認識されていたということだ。

カタログハウス社がYouTubeにアップした意見広告拡大カタログハウス社がYouTubeにアップした意見広告

 ところが放送界は直後に表面化した関西テレビ制作「発掘!あるある大辞典Ⅱ」捏造問題に追われ、時間切れに。CM規制は逆に投票日前14日間に延長された(民主党憲法調査会長で衆院憲法調査会理事だった枝野幸男も容認した)。

 翌2007年5月の法成立の日、民放連はあらためて「広告の取り扱いについては、放送事業者の自主・自律による取り組みに委ねられるべき」との会長名の抗議声明を出した。付帯決議がなされたのは、こうした経緯による。

 しかしその後、

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筆者

石川智也

石川智也(いしかわ・ともや) 朝日新聞記者

1998年、朝日新聞社入社。社会部でメディアや教育、原発など担当した後、特別報道部を経て2021年4月からオピニオン編集部記者、論座編集部員。慶応義塾大学SFC研究所上席所員を経て明治大学ソーシャル・コミュニケーション研究所客員研究員。著書に『さよなら朝日』(柏書房)、共著に『それでも日本人は原発を選んだ』(朝日新聞出版)、『住民投票の総て』(「国民投票/住民投票」情報室)等。ツイッターは@Ishikawa_Tomoya

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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