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夫婦同姓合憲、LGBT「理解増進」法案も進まぬ日本と欧米の大きな隔たり

総じて評判が悪い夫婦同姓合憲判決。LGBTに対する見方も大きく異なり……

山口 昌子 在仏ジャーナリスト

 日本の最高裁が6月23日、夫婦同姓を定めた民法などの規定が憲法が定める「婚姻の自由」に違反しないと判断した。また、LGBTなど性的少数者をめぐる「理解増進」法案について、与党・自民党は前国会への提出見送りを決めた。日本のメディアも大きく報道したこれらの問題を欧米はどう見ているか。

拡大夫婦別姓訴訟の記者会見で、申立人の事実婚カップルが披露した婚姻届。違憲の判断が出た場合に提出する予定だったという。「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」とある=2021年6月23日、東京・霞が関

夫婦同姓は「男性が支配的な封建制度」の名残り

 夫婦同姓合憲は総じて評判が悪い。また、LGBTに対する見方も、欧米と日本とでは大きく異なる。

 たとえば、「夫婦同姓」は合憲との最高裁判断に対し、英BBCは「1898年成立の民法で夫婦別姓を認めずとする男性が支配的な封建制度」の名残りと指摘した。他の海外の反響をみても、これと同様の批判が多い。

 フランスの場合、結婚制度そのものが21世紀を迎えて大きく変化してきたこともあり、「夫婦別性」や「LGBT」が国会での審議の対象になっていることに、「今頃、なぜ?!」(仏記者)などと驚きの声が聞かれる。

結婚しないカップルも既婚者と同等に扱うフランス

 フランスでは1999年11月、「市民連帯契約(PACS)」が成立した。成人2人が「結婚によらない共同生活を安定的かつ持続的に行うことを可能にした」制度で、これにより、結婚で得られる恩典を、結婚しなくても同様に享受できるようになった。日本同様、フランスでも独身者は住民税などの税金や社会保障の負担額が既婚者に比較して割高で、同居はしているものの“独身”のカップルを、既婚者と同等に扱うことで、制度面の不利をなくそうというのが目的だった。

 当時、フランスでは働く女性が増えたこともあり、結婚しないカップルが急増。婚外児が新生児の過半数を超え、戸籍から「婚外児」の欄も消えた。ただ、同法の必要性を強く主張したのが同性愛グループだったため、同性愛反対のカトリック教徒らが猛反対したうえ、野党・右派政党や中道、さらに与党・社会党の一部が、「結婚制度の破壊」「法案成立で結婚しない傾向に拍車がかかる」などと反対したのを受け、約1千の修正案が提出されるなど、国民議会(下院)での審議は沸騰した。

 その後、「成人の2人」が「同性、または異性の成人の2人」になり、レスビアンやゲイ同士のカップルも認められるようになった。2013年以降、同性同士の結婚が認められたからだ。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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