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東京都議選の衝撃 衆院解散総選挙への影響は?~菅首相の戦略に狂いが…

自民伸びず。野党共闘に成果。劣勢をはねのけた都民ファースト。薄氷の勝利の公明党。

大濱﨑卓真 選挙コンサルタント

小池都知事への同情と“アンダードッグ効果”

 一方、都民ファーストの会は、苦戦を伝える事前の予想と裏腹によく踏ん張りました。実際、筆者も含め様々な議席予測が出ていましたが、告示直前直後までの都民ファーストの会の議席予測は概ね10台。苦境をはね返した要因の一つが、都民ファーストの会の特別顧問である小池百合子都知事の動きにあったのは間違いありません。

 選挙前の過労による入院、選挙終盤での退院と記者会見、そして各陣営への応援という流れが、テレビやインターネットで大々的に放映されることで、潮目は確実に変わったと思います。

 まず、小池都知事への同情票は一定程度あったでしょう。一般に、選挙では(社会的コミュニティの関与度合などから)男性は序盤で投票先を決定し、終盤に女性が決定すると言われています。また、選挙戦後半にかけて、「政策」や「実績」などよりも、「人物・人柄」や「性格」、「ストーリー」といった要素によって投票先を決定する層が動くと言われます。そんななか、小池都知事の動きが耳目を集めたことが、最終盤の票の動きに繋がったとみるべきでしょう。

 都民ファーストの会の劣勢が伝えられたことが、“アンダードッグ効果”(日本語でいうと判官贔屓でしょうか)をもたらしたことも否めません。

 前回2017年東京都議会議員選挙では、都民ファーストの会が圧勝しました。圧勝という結果は、言い換えれば、多くの都民が都民ファーストの会の名前を4年前に書いているという事実の証左でもあります。結果的に、この事実が選挙戦中盤以降、勝ちそうな候補者(報道では自民優位といわれていた)ではなく、勝利まであと一歩の候補者(都民ファーストの会の苦戦が伝えられていた)へと票が動くことにつながったと言えます。

 くわえて、女性候補の強さです。最終日に小池都知事が応援に入った都民ファーストの会の候補者は全員当選とはなりませんでしたが、多くが当選しました。当落線上の候補者を中心に回ったのは確かですが、都民ファーストの会が複数候補者を擁立し、かつ「男性」「女性」と2人出たケースでは、女性候補者に票が偏る現象(足立、世田谷、杉並など)がみられました。選挙の最終版で「無党派層」や「なんとなく自民支持層」を中心に女性が小池都知事に対して共感を持ち、前回選挙で投票をした経緯などから、都民ファーストの会の女性候補に投票したのではないかと思われます。

拡大東京都議選開票を受け、記者の取材を前に笑顔を見せる都民ファーストの会の荒木千陽代表=2021年7月4日、東京都中野区

野党共闘に一定の成果。共闘態勢は進む?

 今回の都議選では、自民と都民ファーストの会の議席争いが注目される一方、衆院選直前ということで、野党共闘のあり方も焦点でした。結果的に、共産党は議席を19議席(+1)に増やし、立憲民主党は15議席(+7)と大幅に議席を増やすことができました。野党共闘は一定の成果を出したと言えます。

 半面、様々な事情から野党共闘が成立しなかった選挙区(港、西東京、南多摩など)は課題を残す結果となりました。

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筆者

大濱﨑卓真

大濱﨑卓真(おおはまざき・たくま) 選挙コンサルタント

1988年生まれ。青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。衆参国政選挙や首長選挙をはじめ、日本全国の選挙に与野党問わず関わるほか、「選挙を科学する」をテーマとした選挙に関する研究も行う。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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