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言語と性差をめぐる世界の潮流

日本語も着実に影響を受けている

塩原俊彦 高知大学准教授

③アラビア語

 筆者はアラビア語についてまったく何も知らない。最初にあるつぎのような説明自体がきわめて新鮮に感じられる。

 「アラビア語にも文法的にはジェンダーのある言語で、動詞、名詞、形容詞には常に男性か女性かのどちらかの格が割り当てられている。複数形の場合には、たとえ女性グループのなかに男性が一人いるだけでも、男性がデフォルトになる。」

 家父長的で男尊女卑がつづいていそうなアラブ世界でも、すでに変化は起きている。たとえば、「チュニジアの方言では、だれに対しても女性の代名詞を使うことがすでに一般的になっている」という。

 ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった言葉をアラビア語でどのように定義するかという問題も起きている。LGBTの英単語の音訳を既定値として使う(デフォルトとする)人もいれば、「ムジュタマア・アル・ミーム(مجتمع الميم)」すなわちLGBTという言葉を好む人もいる。さらに、「レバノンの活動家の長年の努力の結果、ゲイを表す「ミスリー」(مثلي)や「ミスリヤ」(مثلية)という言葉が多くのメディアで標準的に使われるようになっている」という。これは「変質者」や「変態」と訳されていた言葉に代わるものとなったから、大きな変化と言え

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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