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台湾で問われる「民主主義的コロナ対策」とは何か

「偉大なる党」ではなく、「市民」が政治の主体である

許仁碩 北海道大学法学研究科助教(法社会学)

「実連制」:接触登録システムと個人情報保護

 しかしながら、台湾の「民主主義的コロナ対策」の道に、確かに試練が待っている。最近の「実聯制(実連制)」問題は、その代表の一つであろう。コロナ対策においては、感染者や濃厚接触者がどこにいたのか、誰と接触しているのかということを把握することが非常に大事になる。この個人情報の把握とプライバシーの保護を両立させることが、民主主義の枠組みの中で重要になってくる。

 警戒レベル「第3級」が台湾全国に拡大した5月19日に、IT担当相(政務委員)のオードリー・タン(唐鳳)が記者会見を開き、「実連制」という登録システムのリリースを発表した。店や役所に入る前に、市民は任意で行動履歴を登録し、政府はその情報をコロナ対策に利用する

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筆者

許仁碩

許仁碩(シュ ジェンシュオ/Jen-Shuo Hsu) 北海道大学法学研究科助教(法社会学)

1987年生まれ。台湾出身。北海道大学法学研究科博士(法学)。主に警察と社会運動を研究。現NPO法人東アジア市民ネットワーク台湾事務局長、台湾人権促進会執行委員、歴史と人権問題に取り組んでいる。東アジアにおける政治情勢、社会問題、警察政策を中心として「鳴人堂」(Udn opinion)、「轉角國際」(Udn global)でコラムを執筆。「端傳媒」(Initium Media)、Asia Democracy Networkなどデジタルメディアにも寄稿。共著にPolicing the Police in Asia Police Oversight in Japan, Hong Kong, and Taiwan(Springer)、訳書に『憲法九條:非戰思想的水脈與脆弱的和平』(原題:『憲法9条の思想水脈』)。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです