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安倍・菅政権で相次いだ不祥事の背景とは~2021政治決戦 何が問われるのか④

森友・加計学園、「桜を見る会」、総務省接待、河井夫妻の公選法違反……

星浩 政治ジャーナリスト

 新型コロナウイルス、ワクチン、東京五輪に揺れる日本は、この秋までに重大な選択を求められる。衆院議員の任期(4年)が10月21日には満了、解散・総選挙がおこなわれるからだ。我々はこの総選挙で何を選択するのか。政治制度や外交、経済政策を含めてシリーズ「2021政治決戦 何が問われるのか」で考察する。第4回は安倍晋三・菅義偉政権で相次いだ数々の不祥事についてあらためて考える。

拡大主催した「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相(中央)=2019年4月13日、東京都新宿区の新宿御苑(代表撮影)

 2012年から続いた安倍晋三・菅義偉政権では多くの不祥事が発覚した。森友・加計学園や「桜を見る会」の問題をはじめ、これほどの不祥事が続くのは極めて異例だ。その背景は何かを探るとともに、次の総選挙に向けて、政治が不祥事の再発防止に向けて何をなすべきなのか、考えてみたい。

首相の国会答弁から急展開した森友問題

 大阪府豊中市の国有地が大幅に値引きされ、学校法人森友学園に払い下げられた。学園が開設を予定していた小学校の名誉校長には安倍首相の夫人・昭恵氏が就くことになっていた。昭恵氏はたびたび、学園を訪問して籠池泰典理事長らと懇談。籠池氏は安倍夫妻との親密な関係を誇示していた。

 この問題が国会で追及された2017年2月、安倍首相は「私や妻が関係していたら、総理大臣も国会議員も辞める」と断言。森友問題はこの国会答弁から急展開する。

 財務省の佐川宣寿理財局長は、国会で森友学園側との交渉記録は残っていないと繰り返していた。だが実際には、昭恵夫人が森友学園側を支援する内容が記載された交渉記録が残っていた。それは安倍首相の答弁に反する内容だった。

 そのため、佐川氏らの判断で昭恵夫人に関する記述などが削除され、前代未聞の公文書改ざんが進められた。さらに、財務省から改ざんを求められた近畿財務局職員の赤木俊夫氏が自殺に追い込まれることになった。

拡大森友学園が建設を進めていた小学校の校舎=2019年7月25日、大阪府豊中市、

安倍後援会の出席者が急増した「桜を見る会」

 桜を見る会は毎年4月、首相が主催して新宿御苑で開催されてきた。2012年末に発足した第2次安倍政権では13年4月以来、安倍首相が毎年、出席した。参加者は年々増え、13年は1万4000人ほどだったのが、19年には1万8000人を超えている。

 なかでも、山口県下関市を中心とする安倍首相の後援会員の出席者が急増。19年には約800人に上り、新宿御苑での会に出席し、酒食を楽しんでいた。税金で運営される桜を見る会には「功労・功績のあった人」が招待されることになっているが、安倍氏の後援会員が大勢、招かれていた。

 さらに、桜を見る会の前日には、安倍氏の後援会主催でニューオータニなどの高級ホテルで前夜祭が開かれ、後援会員は一人あたり5000円という格安で参加していたことも明らかになった。

 国会で追及されると、安倍首相は①800人に上る後援会員の参加者の中にはPTA活動などで功労・功績があった人もいる②前夜祭では、会合の参加者一人一人がホテルと契約しており、安倍事務所からの経費補填はない――などと苦しい答弁を繰り返した。後援会員の参加について、「募ったが、募集していない」といった「珍答弁」もあった。桜を見る会の事務局である内閣府は、参加者の名簿などは会が終了した段階で廃棄しており、残っていないと答弁した。このため、真相は解明されていない。


筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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