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“頑張ろうよ”ではなく“考えさせられる”表現でありたい~ラッパー・ヘススさん

誰かにとってのルーツは、その人の“はじまり”。恥じずに、誇ること

安田菜津紀 フォトジャーナリスト

 2021年1月27日夜、私は気になっていたオンラインイベントに仕事の都合で参加できず、SNSで参加者たちの感想をぼんやりと眺めていた。この日行われていたのは、多様な子どもたちの居場所や孤立をテーマにした毎日新聞の連載、『にほんでいきる』が、2020年度新聞協会賞を受賞した記念に開催されたイベントだった。

 ふと、そのイベントに参加していた知人の投稿が目に留まった。「イベント中に披露してもらったものだけど、この曲は刺さった。何度も無限ループで聴いてる」。私はその投稿についていたリンクを何気なくクリックした。

 シェアされていた動画は、そのイベントにライブで参加していたラッパー、Junior Hsus(ジュニオールヘスス)による『きっとずっと』のMV(ミュージックビデオ)だった。その曲は、ラップに疎い私がそうしたジャンルにイメージする激しい曲調ではなく、むしろ淡々としたリズムで、でもだからこそ、歌詞の言葉ひとつひとつがくっきりと聞こえ、心を震わせた。

 人に優しくできない我々に誰かを裁く資格はない 大切な命奪われりゃ別 心ってやつにも脳があるのか――

 私はこの歌詞の奥に秘められたものに、触れたくなった。

拡大ヘススさん、川崎大師駅近くの路上で

〈お知らせ〉
「論座」ではポッドキャストの番組を始めました。初回はこの論考の筆者であるフォトジャーナリストの安田菜津紀さんをゲストに、難民や入管の問題について松下秀雄編集長と話し合っています。朝日新聞ポッドキャストでお聞きいただけます。記事は「こちら」からどうぞ。

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筆者

安田菜津紀

安田菜津紀(やすだ・なつき) フォトジャーナリスト

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。写真絵本に『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社)、著書に『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』(新潮社)。『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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