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「スパイウェア」による監視という現実

世界全体としての対策はまったく立てられていない

塩原俊彦 高知大学准教授

悪名高いペガサス

 ペガサスの悪名は依然からとどろいていた。2019年に刊行した拙著『サイバー空間における覇権争奪』(社会評論社)では、つぎのように書いておいた。

 「NSOグループは2000年代に入って、「ペガサス」と呼ばれる追跡システムを販売している。ペガサスはiPhone、Androids、BlackBerry、Symbian systemsを含む多くのスマートフォンに狙いを定めて、テクストメッセージはもちろん、連絡リスト、履歴、e-mail、GPS情報などを盗み出す能力をもつとされる。写真をとったり、リアルタイムに情報を送信したりすることもできる。スマートフォンについては、アップル、 グーグルなどはデータ保護のために暗号を利用しているが、NSOグループのスパイウェアが情報を盗める背景には、ソフトウェアの知られていないバグのような欠陥を利用している可能性が高い。

 2019年5月、人権活動家を狙い撃ちしたハッキング攻撃を発見したワッツアップはアプリをアップデートするように世界中の15億人の利用者に推奨した。一説には、ワッツアップで呼び出すだけで、標的のスマートフォンにマルウェアを注入しデータを盗み

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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