メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

[4] フィヨルドの国を生きる凛とした女性~「ソルヴェイグの歌」ノルウェー

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

拡大ノルウェーのフィヨルド(Shutterstock.com)

ソプラノが歌いあげる「ひたすら待ち続ける女性」

 北欧の歌で日本に知られているものといえば、まず「ソルヴェイグの歌」だ。高校の音楽の教科書に載ったことがあるし、NHKの「みんなのうた」では歌詞を変え「みずうみ」として紹介された。

 ノルウェーの作曲家グリーグの代表作、組曲『ペール・ギュント』の1曲である。女性がソプラノの高く澄んだ声を張り上げて歌う悲痛なメロディーと純情な歌詞に心打たれる人は多いだろう。

拡大グリーグを記念したノルウェーの切手(Boris15 / Shutterstock.com)
拡大ノルウェーのベルゲンに残るグリーグが晩年を暮らした家(Evikka / Shutterstock.com)

 ノルウェー語の歌詞の英訳から重訳してみよう。

冬は過ぎ 春も去った
春も去った
夏もまた去っていった
かくてその年は過ぎゆき
また年が経ていく

しかし、私はかたく信じている
あなたは再び帰ってくると
そのときあなたは、
待ち続けている私を見つけるだろう
私があなたに約束したように
待ち続けている私を見つけるだろう

そう、私が約束したのだから
そのときあなたは待っている私を見つけると
あなたは待ち続けている私を見つけるだろう

拡大ベルゲンの街の女性たち

 去って行った夫を待つ女性のひたむきな気持ちが胸を打つ。春が過ぎ、夏を越え秋も去り、冬になっても、さらに翌年、その翌年になってもただひたすら待ち続け、気の遠くなるような年月が過ぎていく。それでも帰りを信じて待っている健気な姿が目に浮かぶ。

拡大ヘンリク・イプセン
 『ペール・ギュント』はもともと、ノルウェーの文学者イプセンが1867年に書いた全5幕の詩劇だ。

 初演はその9年後。劇中の音楽を担当したのがグリーグだった。その第4幕、名高い「アニトラの踊り」のしばらく後にこの歌が出てくる。

(連載第1回「鳥の歌」はこちら。第2回「歓喜の歌」はこちら

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。主著に『心の歌よ!』(シリーズⅠ~Ⅲ)『連帯の時代-コロナ禍と格差社会からの再生』『凛凛チャップリン』『凛とした小国』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。公式HPはhttps://www.itochihiro.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

伊藤千尋の記事

もっと見る