岸本周平(きしもと・しゅうへい) 国民民主党衆院議員
1956年7月12日和歌山市生まれ。広瀬小学校、城東中学校、桐蔭高等学校、東京大学法学部卒業。1980年大蔵省入省、プリンストン大学客員講師、経済産業省課長、財務省課長、トヨタ自動車(株)渉外部部長、経済産業大臣政務官、内閣府大臣政務官などを歴任。2009年より和歌山1区で小選挙区4期連続当選
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
危機時への対応の弱さを露呈した日本の“頭脳”にひそむ構造的な問題点とは……
東京五輪・パラリンピックが開幕します。しかし、この「スポーツの祭典」に水をかけるかのように、新型コロナウイルス感染症の「第5波」が東京を中心とする首都圏や大阪を襲っており、東京都は開幕前日の22日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1979人報告されたと発表しました。
世界的なコロナ感染のただ中での開催となった東京五輪・パラリンピック。当然ながら、周到な感染防止対策が求められましたが、これまでの経緯を見ると、会場内での酒類の販売で二転三転したり、いわゆる「バブル方式」の不完全さが指摘されたり、ルールブックが五輪関係者に守られない状況になったり、危うい対応が目につきます。
来日した選手団からもコロナ陽性患者が次々と出ていますし、五輪関係者では数十人の規模に膨れ上がっています。その濃厚接触者の扱いも不透明で、選手に対しても6時間以内のPCR検査で陰性なら出場を認めるなど、これまでの国際大会とは異なる緩い基準に変更されました。首都圏を中心に試合は無観客で行われますが、多くの国民は不安に感じています。
欧米先進国に比べて数か月出遅れたワクチン接種は、現場の踏ん張りで徐々に進んできましたが、モデルナのワクチンを使う職域接種の受け付けをめぐって混乱が生じたり、自治体向けのファイザーのワクチンの供給量が自治体の希望量に追いつかなかったりで、ここにきて現場も混乱しています。
モデルナ社の5000万回分のワクチンは、6月末までに4000万回、9月末までに1000万回の供給契約でしたが、実際には、6月末までに約3分の1の1370万回分しか入りませんでした。6月8日から受付けの始まった職域接種が本格的にスタートしたのは6月21日、しかし、ワクチン不足で25日には職域接種の受付を一時休止することになりました。
この間、ワクチン担当の河野太郎行政改革担当相は職域接種の呼びかけを積極的に行いましたが、ワクチンの供給量が減ることは4月末の段階で政府にはわかっていたとのこと。まったく信じられません。
6月末までに職域接種の希望は約3700万回分、自治体の集団接種の希望は約2400万回分。しかたなく、自治体にはファイザー社製のワクチン1200万回分を振り分けることに。その結果、7月から供給が減らされるファイザー社製のワクチン供給がさらにタイトになりました。
ファイザー社製のワクチンは、6月までは2週間で1870万回分供給されていましたが、7月、8月は約1200万回分程度に減少します。7月19日から供給予定のワクチンは自治体の希望量の3分の1。自治体では、新規予約を停止せざるを得ないところもあり、個別接種の病院現場も混乱しています。
たとえば、筆者の選挙区である和歌山市では、7月26日からの週には、1回目接種の予約を3割抑制することになりました。さらに、8月9日の週からは5割も抑制せざるをえない状況です。