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世襲政治の3つの弊害~立憲は内規を整備し、自民との差別化を図れ

山内康一 衆議院議員

「非」世襲だと出にくい日本の政治システム

 ふつうのサラリーマンや自営業の人が、国政選挙に出るには高いハードルがあります。小選挙区制や政党交付金のおかげで中選挙区制の時代よりは立候補しやすくなりましたが、それでもハードルはかなり高いです。

 たとえば、イギリスの下院議員選挙の場合、立候補にあたって政党が資金を出してくれるので自己資金はほとんど必要ありません(自己資金の上限があります)。イギリスの主要政党は地域支部がしっかりしているので、自前の後援会組織をつくる必要はありません。地域の党員が戸別訪問をやってくれるので、組織選挙が可能です。

 おそらく日本の政党でイギリスの政党のように政党組織が組織選挙をやってくれるのは、公明党と日本共産党だけだと思います。自民党も立憲民主党も政党組織が強力というわけではなく、候補者が自力で組織をつくり、地方議員や支援団体にお願いして手伝ってもらうというのが実情だと思います。むかし「自民党は自分党」と自民党の人たちが言っていましたが、実態をよく表しています。

 したがって、個人で後援会組織をつくり、活動のベースをつくる必要があるので、衆院選の候補者はフルタイムの仕事です。本業の片手間に選挙準備はできません。当選するまでの間は、原則として候補者は政党から給料をもらえるわけではありません(例外的にもらえる候補者もいますが、私はもらっていません。)。

 新人候補者が当選するまでの間、そして、落選して浪人中は、無職・無収入・無肩書という厳しい状況になります。私も浪人中の約3年間は経済的にも精神的にもきつかったです。そういうハードルが世襲議員の場合かなり低くなります。

 イギリスの人口は約6,800万人ですが、下院(庶民院)の定数は650です。イギリスの人口は日本の人口の半分ですが、イギリスの小選挙区は650区です。日本の小選挙区は289区です。つまりイギリスの方が小選挙区が狭くて、有権者数がずっと少ないので、選挙活動がやりやすいということです。サラリーマンとして働きながら週末を中心に選挙準備をする候補者もいますが、それでも当選できます。

 選挙に立候補する人のための休職制度がある国もあります。優秀な人材に立候補してもらうには、公職の選挙に出るためのハードル(参入障壁)を低くすることが重要です。より公平な競争がより良い人材を集める必須条件だと思います。

選挙直前の引退表明、息子や娘が圧倒的有利に

 衆院選直前にベテラン議員が引退表明して、急に公募ということになっても、すぐに応募できる人は多くありません。ふつうに会社や役所に勤務している人にとっては、選挙直前に公募されてもすぐには仕事を辞めにくい事情もあるでしょう。すると形ばかりの公募をしたとしても、虎視眈々と世襲の準備をしていたベテラン議員の息子や娘が圧倒的に有利になります。

 新人候補者が選挙区の有権者に名前を売り込むのは大変です。世襲ではない新人候補にとっては、選挙の1~2年前から選挙に向けて活動を始める必要があります。したがって、「非」世襲の新人候補が、選挙のわずか数か月前に公募して立候補したとしても勝ち目は薄くなります。他方、世襲の新人候補であれば、親と同じファミリーネームのおかげで知名度はすぐに上がります。

 計画的に息子や娘に世襲しようと考えるベテラン議員が、選挙の直前になって引退表明するのは、意図的に他の立候補のハードルを

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筆者

山内康一

山内康一(やまうち・こういち) 衆議院議員

 1973年福岡県生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部国際関係学科卒。ロンドン大学教育研究所修士課程修了。政策研究大学院大学博士課程中退。国際協力機構(JICA)、国際協力NGOに勤務し、インドネシア、アフガニスタン等で緊急人道援助、教育援助等に従事。2005年衆議院議員初当選(現在:4期目)。立憲民主党国会対策委員長代理、政調会長代理等を歴任。【Twitter】@yamauchiko1【Facebook】https://www.facebook.com/yamauchi.office/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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