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収賄側(被買収)を罪に問う必要性

日本の検察は歴史に学べ

塩原俊彦 高知大学准教授

贈収賄への対処法:旧約聖書からギリシャ

 ユダヤ教の初期段階から、裁判官の中立性を堅持するために、裁判官は賄賂を受け取ってはならないという見方が存在した。拙著『官僚の世界史』では、つぎのように記述しておいた。

 「旧約聖書のモーセ5書の一つ、申命記第16章19において「あなたはさばきを曲げてはならない。人をかたより見てはならない。また賄賂を取ってはならない。賄賂は賢い者の目をくらまし、正しい者の事件を曲げるからである」というとき、英訳では賄賂としてbribeが使われることが多いが、本来は「贈物」を意味する言葉が使われていた。同じく申命記第27章25において、「まいないを取って罪なき者を殺す者は呪われる」との記述もある。この「まいない」も英訳ではbribeがだが、ヘブライ語では、shoḥadh(shochad)になる。この言明は「士師」(イスラエルで、その王国成立前、ヨシュア以後サムエルの時まで[前1200年頃~前1000年頃]、対外的困難の際に民衆の指導者となった者たち)に対してなされたものでもあり、起訴したり証人になったりする人々に向けられたものと解釈することもできる。」

 ギリシャでは、民衆裁判所による紛争解決が重要性を増すと、裁判の陪審員に賄賂を渡して利益をはかる贈賄者に厳しい刑罰を

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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