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日本の将来を決めるエネルギー基本計画 国益と生活を守るために必要な視点とは

「2030年温室効果ガス46%削減」を前提に企業活動や国民生活をどう守るのか

齋藤 健 自民党衆議院議員・元農水大臣

 国内外に課題が山積する今、政治はそうした課題にどう向き合い、解決すればいいか――。現役の国会議員が、それぞれ関心のある分野について、課題とその解決策について論じるシリーズ「国会議員、課題解決に挑む~自由民主党編」。今回は齋藤健衆院議員の論考です。

 エネルギー政策をライフワークに掲げる齋藤健氏は、国の基であるエネルギーのあり方は経済や生活に多大な影響を与えるといい、2050年カーボンニュートラルをにらんで策定される次のエネルギー基本計画の中身はもとより、議論の進め方に警鐘を鳴らす。日本の国益に沿ったエネルギー政策はいかにつくられるべきか。コメント欄にぜひ、ご意見をお寄せください。(論座編集部)

◇齋藤議員からの一言です。本稿をお読みいただく前にご覧ください!(1分30秒)

 社会人になった直後、通商産業省(当時)資源エネルギー庁総務課に配属されたのが、エネルギー政策に携わることの端緒であった。1983年のことである。初めて課長補佐になったのも同庁石油部で、初めて課長になったのも同庁の電力基盤整備課長であった。さらに、国会議員となり、初めて政府に入ったのも、エネルギー政策と表裏一体の環境大臣政務官であった。

 エネルギー政策は、ライフワークとなった。

 それにしても、エネルギー政策というのは実に厄介だ。長期的観点から講じていけねばならないものであるにもかかわらず、そのときどきの環境変化に即応もしなくてはならない。こういうことが頻繁に起こることが悩ましい。

カーボンニュートラルへの対応は必要だが……

 昨今も、地球温暖化防止の観点から、2050年カーボンニュートラルが突如として打ち出され、2030年に向けたエネルギー基本計画の改定作業において即応しなくてはならなくなっている。

 電力基盤整備課長という電力の需給問題、とりわけ供給面を担当している課長の経験者として、政府が打ち出している「2030年に温暖化ガス排出量を2013年比で46%削減する」との目標達成は、あと9年で本当に実現可能なのか、正直憂慮に堪えないものがある。原発の再稼働はままならぬ、石炭火力もできるだけ使うな、ということで、果たして需要に見合い、実行可能な電力供給の絵が描けるのだろうか。

 この制約のもとでは、省エネによるエネルギー需要削減と再生可能エネルギー発電量のめいっぱい積み上げで対応するしかない。8月4日に示されたエネルギー基本計画案では、現行の省エネ目標量(5030万KL)を2割強上乗せして約6200万KLとしたうえで、再生エネルギーの比率を現行目標の22~24%から36~38%へ、発電目標として約1000億kWh追加(発電量は約3350~3570億kWh)している。

 これを目標値との比較ではなく、実際の量と比較すると、2019年度の再生エネルギーによる発電量は全電源の18%で、発電量は1840億kWhだから、10年程度でほぼ倍増させるという目標である。2030年に実現できるのか、正直心許ない。

拡大エネルギー基本計画案を議論する有識者会議であいさつする梶山弘志経済産業相=2021年8月4日、東京都千代田区

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筆者

齋藤 健

齋藤 健(さいとう・けん) 自民党衆議院議員・元農水大臣

1959年生まれ。1983年東京大学卒業後、通産省(現経済産業省)に入り、中小企業庁などを経て、戦後最も難航した日米通商交渉である日米自動車交渉に携わる。その後、小泉内閣のもとでの最大課題であった道路公団民営化などの行革を担当。深谷通産大臣秘書官、資源エネルギー庁電力基盤整備課長を経て、上田埼玉県知事の求めにより埼玉県副知事。企業誘致になどに力を発揮する。自民党の公募により衆議院の候補者になり、一度落選したあと、自民党が野に下った2009年第45回衆議院議員総選挙にて初当選。同期に小泉進次郎環境大臣がいる。以後、環境大臣政務官、農林水産副大臣を経て、2017年8月当選3回という異例の抜擢で農林水産大臣。 現在は、予算委員会理事、憲法審査会幹事、農林水産委員会理事、原子力問題特別委員会委員の4つの委員会に所属し、自民党でも、憲法改正推進本部副本部長、TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部事務総長、20200年オリンピック・パラリンピック東京大会実施本部幹事長、農林・食料戦略調査会幹事、スポーツ立国調査会幹事長を務める。国会と党の政策立案の現場で奮闘中。著書に『増補 転落の歴史に何を見るか』(ちくま文庫)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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