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高校生だった私が入管問題で声を上げた理由~宮島ヨハナさんインタビュー

民主主義がフル活用されていない日本で、声を行使する意義

松下秀雄 「論座」編集長

去来するいくつもの「もしも」

 もしも入管で適切な医療を受けられていたら、もしも在留資格がもっと早く届いていたら、マイさんはもっと長く生き、もっと幸せな人生を歩めていたかもしれない。人権を侵害しているし、不公平だなと思って。すごく衝撃的なできごとでした。

 英語を教わっていたころはマイさんのバックグラウンドも知らなかったんですけど、あとから調べてみたら、暴力的な婚約者と、女性性器切除の慣習から逃れるためにカメルーンを離れたそうです。日本にいるあいだに故郷の政治・社会情勢が悪化し、何度も難民申請をしたけれど、認められなかった。なぜ認定されないんだろうと、すごく疑問に思いました。

 入管に収容されて亡くなったのは、ウィシュマさんが初めてではありません。数えられているだけで、2007年から17人は施設内で亡くなっているし、マイさんのようなケースもあります。実態はブラックボックス化していて闇が深い。見えているのは氷山の一角だと思いますね。

期限もない、家族にも会えない……もし私なら

 ――高校の卒論のテーマに入管問題をとりあげたということですが、どんな気づきがありましたか。

 知れば知るほど、ひどいなあと痛感しました。適切な医療を受けられないのもそうですが、子どもがいる人を収容して親子を引き離すのなんて、ほんとうにひどい。あとは長期収容の問題ですね。刑務所でも刑期が定められているのに、入管からはいつ出られるかもわからない。それでは希望を失ってしまう。実際、入管の中で自傷行為をする方も、自殺する方もいます。精神的に追い詰められるのがいちばんひどいと思います。

 ――いつまで収容が続くのかわからないのは、ほんとうにつらいでしょうね。

 想像できません。このあいだ初めて、面会のために入管にいったんですけど、刑務所のような建物でした。知らない人たちと一日中ずっと同じ部屋にいて、外の風景もみられないし、家族にもなかなかあえない。私だったら耐えられない。だれだって、そんな扱いはされるべきではありません。

人間にみえない「不法滞在者」のイラスト

 そもそも入管に収容されている人は、みんな悪いわけではありません。それなのに「不法滞在者」だと行政にレッテルを貼られ、犯罪者扱いされてしまう。そういう言葉を使っているから、差別や偏見が生まれるのではないでしょうか。せめて「非正規滞在者」のような言葉を使ったほうがいいと思います。

三重県警が作成し、三重県のホームページに掲載されていたイラスト。「差別的」との批判が相次ぎ、削除された=読者提供拡大三重県警が作成し、三重県のホームページに掲載されていたイラスト。「差別的」との批判が相次ぎ、削除された=読者提供

 三重県がいったん公開し、取り下げた「不法滞在者」のイラストをみたのですが、ほんとにもうバイキンマンというか、悪者役のキャラクターになっていて。人間を人間としてみていないことがよくわかる感じがします。

 《注》 三重県警生活環境課が作成し、6月1日に三重県のホームページに掲載された「外国人の不法就労・不法滞在の防止について」のお知らせで使ったイラストに対し、「差別的」などの批判が相次ぎ、県がこのイラストを削除した。灰色の肌に黄色の目をした男女3人が笑いを浮かべながら、「在留資格 調理師」「在留資格 留学」「在留資格 無資格」と書かれた紙を持ち、資格外の仕事に就く様子が描かれていた。

 あと、今回気づかされたのが、アフリカや東南アジアの人たち、LGBTQの人たちをとくに差別しているなと。ウィシュマさんの妹さんが「スリランカ人だからこのような対応をするのではないか」といっていましたが、ほんとにそうだなと思って。日本は経済的に発展しているから、ほかの国を見下すというのもあるのかなと感じますね。

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筆者

松下秀雄

松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長

1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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