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文明史的転換点に立つ五輪後の日本~私たちが踏み出すべきはこの道だ!

取り戻そう、危機を受け止める「感性」と「強さの質」

超党派・古古コンビ(古川元久、古川禎久) 衆議院議員

Ⅰ.目指すべき「強さ」の質、それは最悪の事態を生き抜くこと

武道とスポーツ、「強さ」の違い

男子形の準決勝で演武する喜友名諒=2021年8月6日、日本武道館拡大男子形の準決勝で演武する喜友名諒=2021年8月6日、日本武道館
 私たちが目指すべき「強さ」の質とは何なのか。そのヒントは、東京2020大会で初めて正式競技として実施された、沖縄に源流を持つ「空手」にあった。沖縄空手館の一角に、「長年修行して、体得した空手道の技が、生涯を通して無駄になれば、空手修行の目的が達せられたと心得よ」との先達の教えが掲げられている。つまり、常に最悪の事態を想定しながら、己の技を生涯かけて磨いていく、そしてそれを一生使わずに済むのが理想なのだという。ここがスポーツと武道の違いである。

 スポーツとはオリンピックがそうであるように、ある特定の日に試合とか競技が行われ、そこに向けてベストコンディションを作りこんでいく。そして決められたルールの中でベストパフォーマンスを発揮し、ゲームとして勝負を制するのがスポーツである。したがって今回のコロナ禍のような事態に陥れば当然、大会は延期や中止となり得る。一方、武道はその真逆で、最悪のコンディションの中、そこをどう生き抜いていくかを鍛錬する。けがや病気は勿論、戦う環境においてさえ最悪の事態はいつ訪れるか分からず、どんな状況においても発揮できる力を養い、精進し続けるのが武道である。

 実際、東京2020大会は延期になったが、昨年の騒動で図らずも見えてしまったのがアスリートたちの弱点である。オリパラ延期が決まる前、世界のアスリートたちから聞こえてきたのは「練習ができないのでベストパフォーマンスが発揮できない」、だから延期せよ。延期が決まったら、今度は国内から既に出場が内定している者の権利を守れ。コロナ禍で世界中が震撼する中、アスリートファーストの発言には釈然としない思いを持った。

池江、入江選手が見せた「人間としての強さ」

 そもそも、世の中なんて予定調和で動いているものではない。一人ひとりの人生も、そして社会システムも、不条理がいっぱいで、その中をどうやって理合を見つけて生きていくのか、誰もがもがき苦しみながら歩んでいるのが現実。どんな状況に置かれようとも発揮できる「強さ」が大事なのであって、条件の設定されたある瞬間における記録(金メダル)では、明日を生き抜くことはできないことは企業や国家も同じ。今の時代を冷静に認識するならば、武道的なる鍛錬の考え方にこそ、先の見えにくい明日を生き抜く「強さ」の質があるのだと思う。

 日本のスポーツ界の中には、野球のイチロー選手を始め、武道的なスポーツ道を極めるアスリートたちがいる。

 今回のオリンピックでも、「強さ」の質の違いを見せてくれた日本人アスリートたち。例えば、競泳の池江璃花子選手は、2019年2月に白血病を公表し、最悪の事態をも乗り越えオリンピックに臨んだ。「結果云々より、どん底まで行った人間がここまで上がってきたんだという成長」を見せてくれた池江選手は、コロナ禍を生きる人々に勇気を与えてくれたし、何より大会を楽しんでいるように見えた。ボクシングの入江聖奈選手は金メダルを獲得し、現役続行を求める声が続々と上がる中、メダルを追い続けることには固執せず、むしろ現実社会で生き抜く道を選択し明るく就活宣言をした。

全競技終了後、記念撮影する池江璃花子(中央下)ら=2021年8月1日、東京アクアティクスセンター拡大全競技終了後、記念撮影する池江璃花子(中央下)ら=2021年8月1日、東京アクアティクスセンター
女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈=2021年8月3日、両国国技館拡大女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈=2021年8月3日、両国国技館

 二人に共通するのは、アスリートである前にひとりの人間として、たとえ最悪の事態に見舞われたとしても、どう生き抜いていくかをみずから選び取れる、メダル獲得とは違う「強さ」を感じさせてくれたことだ。

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筆者

超党派・古古コンビ(古川元久、古川禎久)

超党派・古古コンビ(古川元久、古川禎久)(ふるかわ・もとひさ、ふるかわ・よしひさ) 衆議院議員

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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