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【15】 「過労死」という文化と「生き甲斐」という桎梏

テクノロジーがもたらす「自由の困難」という大問題

塩原俊彦 高知大学准教授

「生き甲斐」と仕事

 自由民主党は企業と癒着しながら、つまり、大量の企業献金に依存しつつ、企業経営者に有利な秩序づくりに奔走してきた。この戦後政治の堅固な「レジーム」こそ、過労死をいわば「世間」のムードとして容認する時代錯誤の雰囲気をつくりあげてきたのではないだろうか。

 ここで、「イキガイ。仕事と生活を向上させる日本のコンセプト」というBBCの興味深い記事を紹介したい。2017年8月に公表されたこの記事では、「日本の従業員の約4分の1は月に80時間以上の残業をしており、年間2000人以上の人が亡くなる『karoshi』(過労死)という悲劇も起きている」と指摘している。そのうえで、「イキガイ(生き甲斐)とは、自分の仕事が人々の生活に貢献していると感じること」であるとして、この生き甲斐という「人生の価値観を包括的に捉えた概念」が仕事と必要以上に結びつけられることで日本人を苦しめている面があると

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筆者

塩原俊彦

塩原俊彦(しおばら・としひこ) 高知大学准教授

1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士(北海道大学)。元朝日新聞モスクワ特派員。著書に、『ロシアの軍需産業』(岩波書店)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(同)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局)、『ウクライナ・ゲート』(社会評論社)、『ウクライナ2.0』(同)、『官僚の世界史』(同)、『探求・インターネット社会』(丸善)、『ビジネス・エシックス』(講談社)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた』(ポプラ社)、『なぜ官僚は腐敗するのか』(潮出版社)、The Anti-Corruption Polices(Maruzen Planet)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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