メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

人口減少・経済成熟・気候変動を前提に社会システムの変革を~真のゼロカーボン社会へ(上)

エネルギー源だけのゼロカーボンは不十分

田中信一郎 千葉商科大学基盤教育機構准教授

ゼロカーボン化を通じて社会課題を解決するビジョン

 与党ブロックと野党ブロックの国家方針の違いは、選好やイデオロギーよりも、人口減少・経済成熟・気候変動などの重要課題に対する認識の違いに基づく。それらが炭素文明とグローバリズムという現代文明の帰結であり、従来の国家方針の範囲内で政策を手直しする程度では乗り越えられないとの認識から、野党ブロックの「個人重視・支え合い」の国家方針は導かれている。それ故に、野党ブロックには保守から革新まで幅広い政治家が結集している。そのことは〈「保革」「左右」を超えた野党再編の対立軸は何か〉で論じたので、ご覧いただきたい。

 それら重要課題の根源が同じとの認識に立つと、ゼロカーボン社会のビジョンは、人口増加・経済成長・小さな環境制約を大前提にして組み立てられてきた、従来の社会システムを全面的に変革することになる。大前提が真逆になったのであれば、社会システムは現実に適合しなくなり、十分に機能しなくなる。人々や企業がかつてと同じように頑張っても、同じような成果が得られず、それどころか頑張るほどマイナスになる場合がある。新しい大前提に合わせ、社会システムを組み立て直さなければ、永遠に迷走を続けてしまう。なお、それら重要課題の原因と影響については、拙著『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない』現代書館で分析したので、ご関心ある方はご覧願う。

 すなわち、ゼロカーボン社会とは、人口減少・経済成熟・気候変動を大前提として変革された社会のことであり、決してエネルギー源だけをゼロカーボン化した社会のことではない。従来の前提を転換し、新しい前提に合わせた社会を創造することである。

 よって、

・・・ログインして読む
(残り:約1721文字/本文:約5489文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

田中信一郎

田中信一郎(たなか・しんいちろう) 千葉商科大学基盤教育機構准教授

博士(政治学)。国会議員政策担当秘書、明治大学政治経済学部専任助手、横浜市地球温暖化対策事業本部政策調査役、内閣府行政刷新会議事務局上席政策調査員、内閣官房国家戦略室上席政策調査員、長野県企画振興部総合政策課・環境部環境エネルギー課企画幹、自然エネルギー財団特任研究員等を経て、現在に至る。著書に『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない』『信州はエネルギーシフトする』、共著に『国民のためのエネルギー原論』『再生可能エネルギー開発・運用にかかわる法規と実務ハンドブック』などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

田中信一郎の記事

もっと見る