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菅義偉政権の退陣を歓迎~最後に残された三つの宿題

政治の信頼回復に不可避。今こそ創業政治家の意地を

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

 菅義偉首相は9月3日、自民党の役員会で総裁選に自身が立候補しないことを表明。同時に、予告していた役員人事も取りやめる意向を明らかにした。私はこの決断を歓迎している。

 前日(2日)におこなわれた二階俊博幹事長との会談では「総理はやる気満々だった」(3日付毎日新聞)というから、わずか1日で首相の心境が一変したことになる。

拡大菅義偉首相の退任表明を伝える号外を受け取り目を通す人=2021年9月3日、東京都港区

最重要課題であるコロナ対策に専従

 役員会後の記者会見で菅首相は、今回の決断の趣旨について、概略次のように述べた。

 ――自分が全精力で取り組むべき仕事は二つある。一つは新型コロナを収束させること。もう一つは、自民党総裁任期が9月30日、衆議院議員の任期が10月21日に満了になるので、それに対応する仕事、とりわけ総裁選に立候補することを表明しているので、それに関する活動をしなければならない。

 しかし、この二つとも「莫大なエネルギー」(菅首相)を必要とする。よって、この二つを追求することは無理であって、二つに同時に取り組むとすれば、どちらも中途半端に終わる恐れがある。

 だからこの際、総裁選への立候補をやめて、最重要課題であるコロナ対策に専念することにした。――

 ここで首相が述べたことは、「論座」での論考を通じて私が求めてきたことであり(「横浜市長選が示した民意~菅義偉政権への退陣勧告か」参照)、今回の決断はよく理解でき、敬意も表している。

 「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあるが、首相にすれば、そんな成果のあがらない不毛な流れから脱出したかったのだろう。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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