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過去最悪規模の人道危機にあるアフガニスタンで日本が今するべきこと

「アフガニスタンの人たちを見捨てない」というメッセージを体現することが重要

小美野剛 ジャパン・プラットフォーム共同代表理事 CWS Japan事務局長

 8月15日、タリバンがカブールを奪取し、それまで国際社会が支援をしてきた政権が崩壊した。NATO軍や国際治安支援部隊(ISAF)の関係者をはじめ、タリバンからの報復を恐れて国外退避を求める人々がカブール空港に押し寄せ、メディアはそれを連日報じた。

 命の危険を感じている人々の退避は、確かに重大な問題だ。だが、数千万人のアフガン人にとっては、現実のごく一部でしかない。アフガニスタン国民の99%以上は、タリバンが支配するこの国で生きていくしかないのである。そして、アフガニスタンは今般の政権奪取前から過去最悪規模の人道危機にある。

 日本はこれまで、アフガニスタン復興における主要ドナーであり、人道支援にも積極的に取り組んできた。タリバン政権になっても、それを終わらせてはいけない。実際、アフガニスタンの関係者からは、この分野における日本のリーダーシップに期待する声が多く聞こえてくる。

 本稿では、アフガニスタン国民の大多数がどんな課題に直面しているのか、そうした課題を克服するために何が必要か、そこでの日本の役割は何かについて、今までの国際支援活動から見えてきたことを踏まえて考えてみたい。

拡大中央山岳地帯での新型コロナウィルス啓発セッション©CWS

魅力的な国、アフガニスタン

 このところアフガニスタンからは心を痛めるニュースばかりが流れてくるが、実は大変魅力的な国である。私にとって、世界で一番好きな国のひとつと言っていい。

 初めて訪れたのは、まだ学生だった2003年の夏だった。各地に戦争の爪痕が残るなか、人々の懸命に生きる姿が印象的だった。汚染されていない空気はどこまでも澄んでいて、アルプスを彷彿(ほうふつ)とさせる壮大な山々、無数の星々が瞬く夜空、土と緑が織りなす大地の美しさに心が惹かれた。

 よそ者の私を、アフガニスタンの人々は快く受け入れてくれた。「客人を大切にもてなす」文化は、日本の美徳に通じるものがあると、しみじみ感じたものである。

 2004年からは、本格的にアフガニスタンの支援に関わるようになった。親日的な人が多く、「他の国と比べ、日本は政治的思惑でアフガニスタンに関わっているのではないことは分かっている」と、何度も賞賛を受けた。アフガンの人々と歩み続けた故・中村哲医師のように、ずっと前からアフガニスタンの人たちと正面から向き合い、国づくり・人づくりに携わってきた先輩方の働きのたまものだと思う。

拡大中央山岳地帯での灌漑事業©CWS

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筆者

小美野剛

小美野剛(こみの・たけし) ジャパン・プラットフォーム共同代表理事 CWS Japan事務局長

1980年生まれ。特定非営利活動法人CWS Japan事務局長及び認定NPOジャパン・プラットフォーム共同代表理事。アジア防災緊急対応ネットワーク(ADRRN)理事兼事務局長、防災・減災日本CSOネットワーク(JCC-DRR)共同事務局、支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク(JQAN)代表などを兼務。アフガニスタン、パキスタン、ミャンマー、タイなどの現場を経て東日本大震災から日本の事業も開始した。同志社大卒業、ブランダイス大学大学院開発学修士。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです