2021年10月05日
朝日新聞社の言論サイト「論座」は10月8日午後7時から、「ウィシュマさんを死なせた日本社会~隣人を閉じ込め、難民を閉め出す私たち」と題するオンラインイベントを開催します。入管・難民問題を、私たちの社会や私たち自身の問題として見つめ直そうというイベントで、参加者を募集しています。
名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で今年3月、収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が亡くなりました。この事件は、この国の入管行政の問題点を、あらためてあぶり出しました。
入管に収容されているのは、認められた期限が切れるなど在留資格を持たない人たちです。だからといって、裁判を受けることも期限の定めもなしに自由を奪うのはおかしい、適切な医療も受けられず非人道的な環境に置かれている、などと批判を浴びてきました。
自国で迫害を受けるおそれがあるため、日本に逃れてきた人も収容されています。難民と認めるよう申請しても認められることはまれで、2020年の認定率はわずか0.5%。欧米の国々と比べて突出した低さです。
こうした状況が長らく放置されてきたのは、もしかしたら私たちが、日本国籍を持たない人や海外にルーツを持つ人たちを「外」に置き、まるで社会の構成員ではないかのように見なしてきたせいなのかもしれません。私たちは、この国で生きる人たちを、等しく尊厳ある存在として扱ってきたでしょうか?
ウィシュマさんの件で国は最終報告書をまとめ、幕引きを図っていますが、この問題はまだ終わっていません。イスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握したアフガニスタンでは今後、多くの人が国を離れ難民となる可能性があります。
入管・難民問題は決して「ひとごと」ではありません。この問題に取り組んできたジャーナリストや専門家、若者とともに、私たちの社会や私たち自身を見つめ直し、どうすべきなのかを探りたいと思います。収容施設内でのできごとや、当事者のインタビューの動画もご覧いただきます。
《出演者》
安田菜津紀さん
(やすだ・なつき)
フォトジャーナリスト。NPO法人Dialogue for People 副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。著書に『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』など。
児玉晃一さん
(こだま・こういち)
1994年弁護士登録。翌年、難民申請を手伝ったイラン人の一家が、小学6年生と3年生の子ども2人も含めて入管に収容される事態に直面。以来、難民認定を求めたり、収容の不当さを訴えたりする外国人に対する支援にとりくんできた。東京弁護士会・外国人の権利に関する委員会元委員長、移民政策学会常任理事。著書に『難民判例集』。
宮島ヨハナさん
(みやじま・よはな)
国際基督教大学(ICU)1年。父親が、入管での収容を一時的に解かれた仮放免者の保証人を務め、仮放免者とふれあいながら育った。高校(インターナショナルスクール)の卒業論文のテーマも入管問題。#JusticeForWishmaというハッシュタグをつくったり、ウィシュマさんの死の真相究明と再発防止や、入管法改悪反対の行動を呼びかけたりしてきた。
進行・松下秀雄(まつした・ひでお)
朝日新聞「論座」編集長。1989年入社。論説委員、編集委員を経て現職。
参加費は一般1100円、25歳以下の学生・生徒550円(いずれも税込み)。詳細は募集ページをご覧ください。
《出演者変更のお知らせ》 当初、出演者としてご紹介していた石川えり・難民支援協会代表理事はご出演いただけないことになりました。当初のご説明と異なるかたちになったことをおわび申し上げます。
(論座編集部)
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