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世界最速で進むアジア太平洋地域の高齢化 私たちに準備はできているか?

急速な人口動態の中で人々が尊厳を持って歳を重ねられるために必要なこととは

ビヨン・アンダーソン 国連人口基金(UNFPA)アジア太平洋地域事務所長

アジア太平洋地域で人口の高齢化が猛烈なスピードで進んでいます。過去に例のない急速な人口動態の変化に、私たちはどう向き合えばいいのか。「国際高齢者デー」に合わせて、国連人口基金(UNFPA)アジア太平洋地域事務所長のビヨン・アンダーソン氏に寄稿をしていただきました。
※この記事は日本語と英語の2カ国語で公開しています。英語版「Asia-Pacific is the world’s most rapidly ageing region, but are we ready?」でもご覧ください。(論座編集部)

拡大2050年までに、アジア太平洋地域では4人に1人が60歳以上の高齢人口となる。その半数以上は女性である。 (Photo: © UNFPA Bangladesh / Alka Ferdous)

 2050年の世界を想像してほしい。アジア太平洋地域では、4人に1人が60歳以上の高齢人口となる。2010年の3倍に相当する。今から30年も経たないうちに13億人近くが高齢者になるということだが、アジア太平洋の国々は、はたして高齢化社会への準備が充分にできており、人々は尊厳を持って歳を重ねることができるだろうか。

 話を現在に戻そう。

 東南アジアのとある国で人里離れた村に住む72歳のピンさんは、毎日糯米(もちごめ)を3キロほど売って生活を賄っている。彼女は夫が亡くなってから10年以上もこの仕事を続けている。息子は2か月前に亡くなり、娘2人は結婚して他の地域へと移り住んだ。彼女は現在、健康保険からいくらかの補助金を受け取っているが、この先さらに歳をとっても健康でいられるかどうか気がかりでならない。

 かつてアジア太平洋地域の多くの国々では、ピンさんのような女性たちは、家族や地域社会に老後の暮らしを支えてもらうことができた。しかし、時代は変わってきている。人の移動や都市化により、高齢者を支える伝統的な扶助システムは機能しなくなり、政府は医療費による財政圧迫や、労働力の減少に苦慮するようになった。

 現在、アジア太平洋地域で何らかの年金を受け取っている高齢者世代は全体の3分の1以下だ。しかし、高齢人口の増加に伴い、年金支給に必要な財源は増加傾向にあり、政府の負担はさらに増大している。

 高齢化に対応していくために、政策の転換がこれまで以上に急務となっている。そうした政策の転換には、様々な課題を新たな人口動態の可能性として捉える視点への切り替えが必要である。

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筆者

ビヨン・アンダーソン

ビヨン・アンダーソン(Bjorn Andersson ) 国連人口基金(UNFPA)アジア太平洋地域事務所長

2017年9月、国連人口基金(UNFPA)アジア太平洋地域事務所長に就任し現在に至る。2013~2017年はババトゥンデ・オショティメイン事務局長(当時)の首席補佐官、2003~08年はトラヤ・オベイド事務局長(当時)の首席補佐官を務めた。 国際開発協力分野で約30年にわたる経験を有し、国連機関や政府機関において、プログラムマネジメント、政策策定、戦略的組織管理の役職を務めている。 JPO(Junior Professional Officer)として国連人口部に配属され、1994年の「国際人口開発会議」(ICPD)の準備に携わる。会議で採択された「行動計画」は、UNFPAの活動の指針となった。UNFPAジンバブエ事務所のプログラム・オフィサー、ニューヨーク本部のコーディネーション・オフィサーとしても勤務した。1998年に母国スウェーデンに戻り、スウェーデン国際開発協力庁(SIDA)、外務省で勤務。2000年から03年は外務省副部長をつとめた。2008~13年、外務省の開発政策部長として、人口開発・ジェンダー平等・経済成長・環境・ガバナンス・健康と教育など、国際開発協力の様々な分野で上級専門家のチームを率いた。「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)ではスウェーデンの交渉責任者も兼任した。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです