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日本国民は安倍・菅路線の継続を望むか~総理選出が人気投票に堕してはならぬ

独国民は「メルケル路線」を総選挙の論点に意識する。日本はもっと議論と意思表示を

花田吉隆 元防衛大学校教授

 ドイツでは、「メルケル路線の継続」が選挙の論点としてはっきり意識された。この点、日本はどうか。

拡大自民党総裁選の開票日を伝えるポスターとのぼり=2021年9月21日、東京・永田町の自民党本部

メルケル路線継続望むドイツ国民

 ドイツ連邦議会の総選挙が9月26日に迫る。現在の勢いでは、メルケル首相のキリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)が連立を組む社会民主党(SPD)が勝利しそうだ(SPD:25%, CDU/CSU:21%, 緑の党:16%, 9月23日、Kantar世論調査)。その意味するところは、「ドイツ国民は、変化を望んでいない、メルケル首相後継のCDU/CSU新党首には不満があるが、メルケル路線自体はこのまま続いてくれることを望んでいる」ということだ。

経済順調で生活満足、難民危機に反発しても16年の安定を支持

 メルケル首相就任後の16年、ドイツ国民は大方満足できる生活を送ってきた。EU拡大の果実を独占的に享受、中国市場への進出も進み、欧州債務危機も何とか乗り切って、経済は順調に推移してきた。ドイツ経済がEUの中で飛びぬけた位置を占めるにつれ、ドイツの発言力も増大、EUはドイツ抜きでは語れないほどになった。

拡大国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため、あらゆる行動に努めるよう国民に呼びかけるメルケル首相。「地球の未来と若い世代の未来を守ることが私たち全員の最優先事項だ」と述べ、コロナパンデミックからの生活と経済を回復とともに、変革を実現させるためのアジェンダを掲げた=2021年9月17日、ドイツ政府HPから
 無論、デジタル化やインフラ整備の遅れが指摘される。そういう問題はあるが、しかし、基本路線としては、国民はメルケル首相に十分満足している。メルケル首相が、今なお、高い人気を博している理由がここにある。

 そのメルケル路線が躓いたのが、2015年の難民危機だ。全国に難民が溢れ、国民は、こんな事態は到底受入れられないと反発、極右政党ドイツのための選択肢(AfD)がついに議会に進出した。この難民危機が引き金となり、メルケル首相は2021年秋限りでの引退に追い込まれた。

 難民に関しては、ドイツ国民は依然メルケル路線に反対だ。しかしそれを除けば、メルケル路線がこのまま続いてくれることこそ、ドイツ国民が望んでいることといっていい。

拡大会談するドイツのメルケル首相(左)と菅義偉首相。菅氏は退陣を表明、メルケル氏もまもなく16年務めた首相の座を退く=2021年6月12日、英国・コーンウォール

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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